はじめに
この記事ではシリーズ化して伝説の剣豪・剣士・剣の達人を紹介しています。日本の歴史上の中で侍、武士が数多く名を残してきましたが、今回紹介する伝説の剣豪・剣士・剣の達人は【近藤勇】です。【近藤勇】は天然理心流の宗家から新選組局長となり幕末の京都で剣を振るった剣豪です。【近藤勇】は超有名人なので簡単に説明していますので詳細が知りたい方はWikipediaなんかでよろしくお願いします。
近藤勇
名前:近藤勇、近藤昌宜、大久保剛、大久保大和
流派:天然理心流
出身:武蔵国
年代:江戸時代後期~明治時代初期(1834~1868)
試衛館から新選組へ
近藤勇は天保5年(1834)に武蔵国多摩郡の百姓・宮川久次郎と母みよの三男として生まれました。幼名は勝五郎、後に勝太。
嘉永元年(1849)、勝五郎は江戸牛込の「天然理心流」の道場・試衛場に入門すると、翌年には目録を受けて3代目・近藤周助(近藤周斎)の養子となり近藤勇を名乗りました。
その後、天然理心流宗家四代目襲名披露の野試合を行い、晴れて流派一門の宗家を継ぎました。
試衛館では稽古の際に使用する木刀が真剣を同じ重さで作られており、握っても親指が他の指と触れないほど柄の部分が太いものでした。
このため一般の木刀より重心が手前にあり、自在に操るには強靭な握力、膂力を必要としました。
真剣による戦場の戦いを想定していたとされるこの木刀のおかげで、近藤勇、土方歳三、沖田総司ら「天然理心流」の者達は幕末に名を残すことになっていくのです。
また、近藤勇の試衛館には不思議なことに、北辰一刀流の山南敬介、神道無念流の永倉新八など他流派の剣士たちも集まりました。
そして彼らを率いた近藤勇は、文久3年(1863年)に将軍警護のため組織された『浪士組』へ参加し、京都に出発します。
しかし、浪士組を率いていた清河八郎の目的が『尊皇攘夷』であると分かると、近藤勇らは水戸浪士・芹沢鴨らと共に反発しました。
江戸に戻る浪士組に対し、京に残留することを決めた近藤勇たちは、やがて会津藩預かりの『壬生浪士組』となり市中警護を担います。
そして芹沢派との内部闘争などを経て、近藤勇を局長とした『新選組』が構築されていきました。
栄光と没落
近藤勇と新選組が天下に名を轟かせたのは元治元年(1864)の池田屋事件。
京に火を放ち、混乱に乗じて朝廷を長州に移す計画を知った新選組は、首謀者がいる池田屋を強襲して宮部鼎三や吉田利麿など有力な尊王攘夷志士を斬りました。
近藤勇は騒動の直後、父に宛てて「永倉新八の刀は折れ、総司の刀は帽子が折れ、藤堂平助の刀はささらのように(ぎざぎざ)になったが、自分の刀は虎徹でしたから無事でした」と激闘の様子を報告しています。
愛刀の『長曽禰虎徹』は贋作だったとの話もありますが、近藤勇は生涯これを本物と思って使っていたようです。
また、暇があれば刀剣の話をするほど、近藤勇は『刀』に対して執着を持っていたといいます。
新選組は池田屋事件によって朝廷と幕府から高く評価されましたが、その後は隊内の粛清や『御陵衛士』の分裂などで力を弱めている間に時流は倒幕に向かって流れ、活躍の舞台を失っていきました。
やがて大政奉還が行われ、新政府軍と幕府軍が衝突した鳥羽・伏見の戦いが発生すると、新選組も出陣しましたが敗戦。
この戦いの前、近藤勇は『御陵衛士』の残党から狙撃されて負傷していたため、土方に指揮を任せて自らは伏見城に逃れていたといいます。
その後、江戸に戻り、新政府軍との戦いに備えようとした近藤勇ですが、新政府への恭順を考えていた幕府首脳陣は薩長の恨みを買っている新選組を江戸から遠ざけることを考えます。
そして新選組は『甲陽鎮撫隊』として甲州街道へ派遣され、勝沼の戦いで敗走。
これまで行動を共にしてきた永倉新八・原田左之助らは意見の違いから離脱し、近藤勇は下総国流山で新政府軍に捕縛されました。
一説には新政府軍に包囲されたことを知った近藤勇が降伏交渉のために自ら出頭したともいわれています。
この時、近藤勇は「大久保大和」と名を変えており、新政府に対しても大久保の名を貫き通していました。
しかし、元新選組隊士で『御陵衛士』だった者に見破られ、斬首ののちに近藤勇の首は京の三条河原に晒されました。享年35。
おわりに
「天然理心流」の宗家でありながら、道場の中で埋もれることを良しとせず、揺れ動く時代に飛びこんでいった近藤勇。
近藤勇をそのような気持ちに駆り立てたのは、百姓出身という劣等感と、他の流派より実戦向きだった「天然理心流」からくる自信でしょうね。
実際、試衛館メンバーも若者だらけですから、当時は後先考えずにイケイケだったのかもしれません。
良く言えば、時代に抗った本物の侍。
悪く言えば、時流を見誤った思い上がりの百姓。
この人ほど評価が分かれる人物ってなかなかいないかも。
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