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伝説の剣豪・剣士・剣の達人を紹介【高橋赳太郎】日本最強は誰?流派は?

投稿日:2020年1月7日 更新日:

はじめに

ここではシリーズ化して伝説の剣豪・剣士・剣の達人を紹介しています。日本の歴史上の中で侍、武士が数多く名を残してきましたが、今回紹介する伝説の剣豪・剣士・剣の達人は【高橋赳太郎】です。【高橋赳太郎】は『三郎三傑』の一人として名を馳せ、技を超えた達人と評された伝説の剣豪です。それでは【高橋赳太郎】について流派や出身地も含め簡単に説明していきます。

 

出典:https://www.yokohamamugaikai.com/

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高橋赳太郎

名前:高橋赳太郎

流派:無外流、津田一伝流

出身:播磨国

年代:江戸時代末期~昭和(1859~1940)

過酷な幼少期

高橋赳太郎は安政6年(1859)に姫路藩の剣術指南役・高橋哲夫武成の長男として生まれました。諱は高運。

高橋家は代々酒井家に仕え、父は藩校『好古堂』で「無外流」剣術、「自鏡流」居合、「津田一伝流」剣術の師範を務め、自らも道場『膺懲舎』を開いて弟子を受け入れていました。

赳太郎は6歳から『膺懲舎』で剣術修行を命じられて稽古を始めましたが、父の指導は厳しく、倒れれれば冬でも井戸の水を浴びせられるという過酷な稽古をつけられていました。

また、赳太郎は剣術のほかにも『好古堂』で柔術や馬術、学問などを学ぶなどの英才教育を受けていました。

しかし、明治維新がなると父は藩の師範役を解任され、次第に道場からは門人たちが去って稽古は高橋父子だけになってしまいました。

それでも懸命に稽古に励んだ赳太郎は明治9年(1876)、父から「無外流」剣術と「津田一伝流」剣術の免許を与えられました。

その後、父が亡くなると赳太郎は祖父の高橋八助成行から「無外流」奥伝を伝授され、武者修行の旅を決意します。

しかし、当時の政府は剣術を禁じていたために赳太郎は表向きは見世物という名目で剣術修行を行なっていきました。

そして近畿、中国地方を数ヶ月間かけて回った赳太郎は帰郷後、大阪で警察官として採用されました。

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三郎三傑

明治16年(1883)、高知の撃剣興行一座が大阪に来た時、赳太郎は同じ「無外流」の川崎善三郎と対戦しました。

この時、実力伯仲の両者の勝負はなかなか決着がつかず、引き分けかとも思われました。

しかし、審判を務めていた秋山多吉郎は「死ぬまでやれ」と叱咤したため、二人は試合を止めることもできず、組討ちまでもつれこんだ末に意識を失い倒れてしまいました。

二人は気が付いたときには並んで氷枕に寝かされていましたが、この死闘は行き場所を失っていた剣士の間で高く評価されたといいます。

その後、赳太郎は明治20年(1887)に上京して警視庁撃剣世話掛の採用試験を受けました。

上田馬之助逸見宗助ら名だたる剣豪が審査員を務めたこの採用試験は非常に過酷なものであったといいます。

まず雪が積もる中を裸足で野試合を行いましたが、審査員たちはなかなか「それまで」と言わないため、足の感覚は完全にマヒ。

さらに野試合が終わると道場に通され、得能関四郎ら警視庁で指折りの剣士10数名との稽古が行われました。

代る代る剣士が交代する中、息つく暇もなく稽古の相手を務めた赳太郎は、この雪の日のことが一生忘れられない出来事になったとのちに語っています。

この試験に合格した赳太郎は撃剣世話掛として採用され、警察署員に撃剣を指導しながら自らの剣を磨き、特に剣術に優れた者として同時期に採用された川崎善三郎高野佐三郎と共に『三郎三傑』と呼ばれるようになりました。

 

右から、川崎善三郎高野佐三郎高橋赳太郎
出典:http://blog.kendo-tool.com/

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技を超えた達人

その後、赳太郎は明治21年(1888)に宮内省『済寧館』天覧試合に出場し、そこで上田馬之助逸見宗助の試合を見て衝撃を受けます。

二人は構えたまま技を出さず、そのまま試合は終えたのです。

これに赳太郎は「二人は気で戦っていた」と強い感銘を受け、自分もその境地に達することを目指すことになりました。

翌年、兵庫に戻り、神戸警察署撃剣教師などを務めた赳太郎。

明治28年(1895)には道場『知進館』を開いて剣術・柔術を教授していましたが、やがて川崎善三郎高野佐三郎と共に大日本帝国剣道形制定の委員に選ばれて「形」の統一に尽力しました。

そして剣道界の重鎮となった赳太郎は、大正13年(1924)に宮内省皇宮警察部主催の済寧館台覧試合に出場しました。

この時、赳太郎は門奈正との試合で互いに一度も技を出せずに引き分けとなり、「技を超えた達人」同士の試合と評されたといいます。

昭和15年(1940)、死去。享年81。

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時代 剣豪名 流派
平安 鬼一 法眼 京八流
源 判官 義経 太刀の術
室町 念阿弥 慈恩(相馬 義元) 念流
中条 兵庫頭 長秀 中条流
飯篠 長威斎 家直 天真正伝香取神道流
松本 備前守 政信 鹿島神流
愛洲 移香斎 久忠 陰流
戦国 塚原 卜伝 高幹 鹿島新當流
山本 勘助 晴幸 京流
竹内 中務大夫 久盛 竹内流
上泉 伊勢守 信綱 新陰流
宝蔵院 胤栄 宝蔵院流
富田 五郎左衛門 勢源 富田流
奥山 休賀斎 公重 神影流
柳生 石舟斎 宗厳 柳生新陰流
北畠 具教 鹿島新當流
師岡 一羽 常成 一羽流
足利 義輝 鹿島新當流・新陰流
疋田 豊五郎 景兼 疋田陰流
丸目 蔵人 長恵 タイ捨流
林崎 甚助 重信 神夢想林崎流
根岸 兎角(信太 朝勝) 微塵流
伊藤 一刀斎 景久 一刀流
斎藤 伝鬼坊 勝秀 天流
真壁 暗夜軒 氏幹 霞流
富田 越後守 重政 富田流
樋口 又七郎 定次 馬庭念流
吉岡 憲法 直綱 吉岡流
江戸 東郷 重位 示現流
小野 忠明(神子上 典膳) 小野派一刀流
小笠原 源信斎 長治 真新陰流
柳生 但馬守 宗矩 柳生新陰流
片山 伯耆守 久安 片山伯耆流
鐘捲 自斎 通家 鐘捲流
柳生 兵庫助 利厳 柳生新陰流
松山 主水 大吉 二階堂平法
夢想 権之助(山本 勝吉) 神道夢想流
小栗 仁右衛門 正信 小栗流
宮本 武蔵 玄信 二天一流
高田 又兵衛 吉次 宝蔵院流
神谷 伝心斎 直光 直心流
針ヶ谷 夕雲 正成 無住心剣流
上泉 義胤(上泉 秀信) 民弥流
松林 蝙也斎 永吉 夢想願流
田宮 平兵衛 重正 田宮流
荒木 又右衛門 保知 柳生新陰流
佐々木 巌流 小次郎 巌流
伊藤 典膳 忠也 忠也派一刀流
柳生 十兵衛 三厳 柳生新陰流
薬丸 兼陳 薬丸自顕流
柳生 連也斎 厳包 柳生新陰流
関口 八郎左衛門 氏業 関口流
高田 三之丞 為長 柳生新陰流
伊庭 是水軒 秀明 心形刀流
今枝 佐仲 良台 初實剣理方一流
辻 月丹 資茂 無外流
高木 馬之輔 重貞 高木流
真里谷 円四郎 義旭 無住心剣流
堀部 安兵衛 武庸 馬庭念流
樋口 十郎兵衛 定暠 馬庭念流
楳本 法神 政武 法神流
寺田 五右衛門 宗有 天真一刀流
戸賀崎 熊太郎 暉芳 神道無念流
近藤 内蔵之助 長裕 天然理心流
平山 行蔵 講武実用流
岡田 十松 吉利 神道無念流
岡田 惣右衛門 寄良 柳剛流
浅利 又七郎 義信 中西派一刀流
白井 亨 義兼 天真一刀流
中西 忠兵衛 子正 中西派一刀流
千葉 周作 成政 北辰一刀流
大石 進 種次 大石新陰流
男谷 精一郎 信友 直心影流
高柳 又四郎 義正 中西派一刀流
伊庭 軍兵衛 秀業 心形刀流
幕末 斎藤 弥九郎 善道 神道無念流
大川 平兵衛 英勝 神道無念流
加藤田 平八郎 重秀 加藤田新陰流
遠藤 五平太 正贇 中西派一刀流
島田 虎之助 直親 直心影流
逸見 小源太 長英 甲源一刀流
橘 内蔵介 正以 柳剛流
浅利 又七郎 義明 中西派一刀流
勝 海舟 安邦 直心影流
桃井 春蔵 直正 鏡新明智流
大山 格之助 綱良 薬丸自顕流
宇野 金太郎 重義 片山伯耆流
斎藤 新太郎 龍善 神道無念流
清河 八郎 正明 北辰一刀流
黒河内 伝五郎 兼規 神夢想一刀流
仏生寺 弥助 神道無念流
上田 馬之助 美忠 鏡新明智流
高杉 晋作 春風 神道無念流・柳生新陰流
桂 小五郎(木戸 孝允) 神道無念流
佐々木 只三郎 泰昌 神道精武流
斎藤 歓之助 歓道 神道無念流
千葉 栄次郎 成之 北辰一刀流
河上 彦斎 玄明 我流
近藤 勇 昌宜 天然理心流
坂本 龍馬 直柔 北辰一刀流
高橋 泥舟(高橋 伊勢守) 自得院流
土方 歳三 義豊 天然理心流
沖田 総司 房良 天然理心流
永倉 新八(長倉 載之) 神道無念流
伊庭 八郎 秀穎 心形刀流
斎藤 一(藤田 五郎) 無外流
岡田 以蔵 宜振 鏡新明智流
中村 半次郎(桐野 利秋) 薬丸自顕流
明治 山岡 鉄舟 高歩 一刀正伝無刀流
榊原 鍵吉 友善 直心影流
松崎 浪四郎 直之 加藤田新陰流
渡辺 昇 武常 神道無念流
奥村 左近太 奥村二刀流・直心影流
得能 関四郎 通久 直心影流
牟田 文之助 高惇 鉄人流
根岸 信五郎 資剛 神道無念流
門奈 正 水府流・北辰一刀流
高山 峰三郎 直心影流
逸見 宗助 立身流
高橋 赳太郎 高運 無外流
本間 三郎 本間念流
川崎 善三郎 重徳 無外流
高野 佐三郎 豊正 中西派一刀流
内藤 高治 北辰一刀流
山田 次朗吉 鹿島神傳直心影流
中山 博道 神道無念流

 

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