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伝説の剣豪・剣士・剣の達人を紹介【愛洲移香斎】日本最強は誰?流派は?

投稿日:2017年1月12日 更新日:

はじめに

この記事ではシリーズで伝説の剣豪・剣士・剣の達人を紹介しています。日本の歴史上の中で侍、武士が数多く名を残してきましたが、今回紹介する伝説の剣豪・剣士・剣の達人は剣術の一大流派を起こした【愛洲移香斎】です。【愛洲移香斎】は剣聖として名高い上泉伊勢守信綱の「新陰流」、つまりは柳生一族の「柳生新陰流」の源流である「陰流」の創始者です。それでは【愛洲移香斎】について流派や出身地も含め簡単に説明しています。

 

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出典:http://www.hyakugo.co.jp/

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愛洲移香斎

名前:愛洲移香斎、愛洲久忠

流派:陰流

出身:伊勢国

年代:室町時代中期(1452~1538)

明が怖れた海賊・愛洲氏

愛洲移香斎は、伊勢国愛洲氏の一族。

愛洲氏はもともと船戦が得意な熊野水軍に属した一党であり、平時は海外に出て交易を行い、日本に多くの文化を伝える役割を果たす八幡船を生業にしていました。

しかし、実際は貿易を行いながらも、海賊のようなことを生業に行っていたといわれています。

愛洲氏が属する熊野水軍は東シナ海沿海州を荒らし回り、倭寇「八幡海賊」ともいわれていました。

倭寇が用いる剣法は両手で三尺もの刀を振り回す荒技で、刀と盾をもって戦うことが標準の明国水兵は怖れていたといいます。

このため、中国の『武備志』にも陰流剣術の中にある型を倭刀を持って演武する中国人の絵が描かれています。

このように武術、兵法に優れた者が必要とされた海賊として、愛洲移香斎の剣は磨かれていきました。

また、念流を伝えた念阿弥慈恩の高弟である『念流十四哲』の中に猿御前という人物がいますが、愛洲移香斎はこの猿御前の子孫といわれることからも、愛洲氏は古来より兵法に通じた一族だったとも考えられます。

 

出典:https://ibispedia.com/aisuhisatada

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新陰流の元となった陰流の創始者

愛洲一族に伝わる海賊剣術を学んでいたであろう愛洲移香斎は、若い頃から九剣術修行で全国を廻り、さらに生業を活かして明国にも武者修行で訪れて腕を磨いたといわれています。

実際に愛洲移香斎が明国に行ったといわれるのは31歳から33歳の頃で、文明15年(1483)12月に堺を出港し、日向で年を越して寧波に寄り、明の成化20年(1485)11月に明に到着、文明18年(1485)7月4日には帰国したといいます。

その後、愛洲移香斎は長享元年(1487)36歳の時、日向国の鵜戸権現の岩戸に籠ること37日、満願の日に神が猿の形で奥義と秘伝書一巻を授けたとされていいます。

また、一説では21日目の夜に目の前の蜘蛛を追い払おうとし、ヒラヒラと身を躱す動きを見てひらめいた瞬間、蜘蛛が翁に姿を変え、愛洲移香斎に奥義を授けたとされています。

更に、この翁は「ここから南方に住む『住吉』という者と闘い、その秘術を授けよ」と託宣して姿を消し、愛洲移香斎は言われたとおり『住吉』と仕合して打ち負かして「陰流」を起こしたといいます。

こののち、愛洲移香斎は諸国を巡って兵法を広め、晩年になると鵜戸権現に戻って神職となって87歳で没したとされています。

 

新陰流を創始した上泉伊勢守信綱は、伝書の中で「予は諸流の奥義を究め、陰流において別に奇妙を抽出して、新陰流を号す。」と書いており、上泉伊勢守信綱が年老いた愛洲移香斎から「陰流」を学んだとの説もありますが、年代的に無理があるので子の小七郎宗通に学んだと考えるのが妥当とされています。

子の小七郎宗通は佐竹家に仕えて「猿飛陰流」を称し、のちに愛洲姓から平澤姓に変えて元香斎と名乗って「猿飛陰流」は秋田藩佐竹氏のもとで平澤氏によって広まっていきました。

 

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出典:http://www.kirari1000.com/

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おわりに

愛洲移香斎が本当に明まで行っていたとしたら実に興味深い話です。

愛洲氏は半分海賊みたいなものですから本当であってもおかしくはないと思いますが、いかんせん岩戸に籠って神だか猿だかに奥義を授かったという話がうさん臭いために全てが台無しになっているような気もします。

実は愛洲移香斎、筆者の地元の人で本当に応援したい剣豪でありますので、剣豪好きな方は是非一度、愛洲の館へお越しください。

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時代 剣豪名 流派
平安 鬼一 法眼 京八流
源 判官 義経 太刀の術
室町 念阿弥 慈恩(相馬 義元) 念流
中条 兵庫頭 長秀 中条流
飯篠 長威斎 家直 天真正伝香取神道流
松本 備前守 政信 鹿島神流
愛洲 移香斎 久忠 陰流
戦国 塚原 卜伝 高幹 鹿島新當流
山本 勘助 晴幸 京流
竹内 中務大夫 久盛 竹内流
上泉 伊勢守 信綱 新陰流
宝蔵院 胤栄 宝蔵院流
富田 五郎左衛門 勢源 富田流
奥山 休賀斎 公重 神影流
柳生 石舟斎 宗厳 柳生新陰流
北畠 具教 鹿島新當流
師岡 一羽 常成 一羽流
足利 義輝 鹿島新當流・新陰流
疋田 豊五郎 景兼 疋田陰流
丸目 蔵人 長恵 タイ捨流
林崎 甚助 重信 神夢想林崎流
根岸 兎角(信太 朝勝) 微塵流
伊藤 一刀斎 景久 一刀流
斎藤 伝鬼坊 勝秀 天流
真壁 暗夜軒 氏幹 霞流
富田 越後守 重政 富田流
樋口 又七郎 定次 馬庭念流
吉岡 憲法 直綱 吉岡流
江戸 東郷 重位 示現流
小野 忠明(神子上 典膳) 小野派一刀流
小笠原 源信斎 長治 真新陰流
柳生 但馬守 宗矩 柳生新陰流
片山 伯耆守 久安 片山伯耆流
鐘捲 自斎 通家 鐘捲流
柳生 兵庫助 利厳 柳生新陰流
松山 主水 大吉 二階堂平法
夢想 権之助(山本 勝吉) 神道夢想流
小栗 仁右衛門 正信 小栗流
宮本 武蔵 玄信 二天一流
高田 又兵衛 吉次 宝蔵院流
神谷 伝心斎 直光 直心流
針ヶ谷 夕雲 正成 無住心剣流
上泉 義胤(上泉 秀信) 民弥流
松林 蝙也斎 永吉 夢想願流
田宮 平兵衛 重正 田宮流
荒木 又右衛門 保知 柳生新陰流
佐々木 巌流 小次郎 巌流
伊藤 典膳 忠也 忠也派一刀流
柳生 十兵衛 三厳 柳生新陰流
薬丸 兼陳 薬丸自顕流
柳生 連也斎 厳包 柳生新陰流
関口 八郎左衛門 氏業 関口流
高田 三之丞 為長 柳生新陰流
伊庭 是水軒 秀明 心形刀流
今枝 佐仲 良台 初實剣理方一流
辻 月丹 資茂 無外流
高木 馬之輔 重貞 高木流
真里谷 円四郎 義旭 無住心剣流
堀部 安兵衛 武庸 馬庭念流
樋口 十郎兵衛 定暠 馬庭念流
楳本 法神 政武 法神流
寺田 五右衛門 宗有 天真一刀流
戸賀崎 熊太郎 暉芳 神道無念流
近藤 内蔵之助 長裕 天然理心流
平山 行蔵 講武実用流
岡田 十松 吉利 神道無念流
岡田 惣右衛門 寄良 柳剛流
浅利 又七郎 義信 中西派一刀流
白井 亨 義兼 天真一刀流
中西 忠兵衛 子正 中西派一刀流
千葉 周作 成政 北辰一刀流
大石 進 種次 大石新陰流
男谷 精一郎 信友 直心影流
高柳 又四郎 義正 中西派一刀流
伊庭 軍兵衛 秀業 心形刀流
幕末 斎藤 弥九郎 善道 神道無念流
大川 平兵衛 英勝 神道無念流
加藤田 平八郎 重秀 加藤田新陰流
遠藤 五平太 正贇 中西派一刀流
島田 虎之助 直親 直心影流
逸見 小源太 長英 甲源一刀流
橘 内蔵介 正以 柳剛流
浅利 又七郎 義明 中西派一刀流
勝 海舟 安邦 直心影流
桃井 春蔵 直正 鏡新明智流
大山 格之助 綱良 薬丸自顕流
宇野 金太郎 重義 片山伯耆流
斎藤 新太郎 龍善 神道無念流
清河 八郎 正明 北辰一刀流
黒河内 伝五郎 兼規 神夢想一刀流
仏生寺 弥助 神道無念流
上田 馬之助 美忠 鏡新明智流
高杉 晋作 春風 神道無念流・柳生新陰流
桂 小五郎(木戸 孝允) 神道無念流
佐々木 只三郎 泰昌 神道精武流
斎藤 歓之助 歓道 神道無念流
千葉 栄次郎 成之 北辰一刀流
河上 彦斎 玄明 我流
近藤 勇 昌宜 天然理心流
坂本 龍馬 直柔 北辰一刀流
高橋 泥舟(高橋 伊勢守) 自得院流
土方 歳三 義豊 天然理心流
沖田 総司 房良 天然理心流
永倉 新八(長倉 載之) 神道無念流
伊庭 八郎 秀穎 心形刀流
斎藤 一(藤田 五郎) 無外流
岡田 以蔵 宜振 鏡新明智流
中村 半次郎(桐野 利秋) 薬丸自顕流
明治 山岡 鉄舟 高歩 一刀正伝無刀流
榊原 鍵吉 友善 直心影流
松崎 浪四郎 直之 加藤田新陰流
渡辺 昇 武常 神道無念流
奥村 左近太 奥村二刀流・直心影流
得能 関四郎 通久 直心影流
牟田 文之助 高惇 鉄人流
根岸 信五郎 資剛 神道無念流
門奈 正 水府流・北辰一刀流
高山 峰三郎 直心影流
逸見 宗助 立身流
高橋 赳太郎 高運 無外流
本間 三郎 本間念流
川崎 善三郎 重徳 無外流
高野 佐三郎 豊正 中西派一刀流
内藤 高治 北辰一刀流
山田 次朗吉 鹿島神傳直心影流
中山 博道 神道無念流

 

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