大河ドラマ直虎12話で死んだ大ジジ様こと井伊直平、新野左馬助、中野直由について。直親を含めた早すぎる４人の退場。

大河ドラマ「おんな城主　直虎」の第12話「おんな城主直虎」で、井伊直親（三浦春馬）が駿府に向かう途中、掛川城下で今川氏の手の者に襲われ死んでしまいますが、この12話では井伊直親の死亡のほかにも、序盤から活躍してきた人物、大ジジ様こと井伊直平（前田吟）、新野左馬助（苅谷俊介）、中野直由（筧利夫）の3人までもが死んでしまいます。

4人が今回の大河ドラマ直虎からほぼ同時に退場してしまう異常事態。いかに井伊家が不幸で、厳しい状況に置かれているかが分かると思います。

追悼の意味も込め、直親以外の3人について簡単に説明したいと思います。

井伊直平（1479？～1563）

井伊直平は、遠江国の国人井伊氏当主で、井伊直氏の子。大河ドラマ直虎の通称は「大ジジ様」

南渓（小林薫）と井伊直満（宇梶剛士）、佐名（花總まり）の父。

井伊直盛（杉本哲太）と井伊直親（三浦春馬）、瀬名（菜々緒）の祖父。

井伊直虎（柴咲コウ）と井伊直政（菅田将暉）、松平信康の曾祖父。

出典：http://www.nhk.or.jp/

井伊直平は、今川氏と敵対関係にあったため激しく交戦していたが、1513年に三岳城が攻略され、今川氏親（今川義元の父）に従属することになる。

大河ドラマ直虎では、井伊直平は今川氏への交戦をよく提案していましたが、実は自分の代に今川への従属を決断していたんです・・・。

1532年、黙宗瑞渕を招いて龍泰寺と寺号を改めました。

さらに直平は小野政次（吹越満）の優秀さを買って、井伊家に仕官させています。

大河ドラマ直虎では、あんなに小野家を嫌っている直平ですが、自分で仕官を認めているなんて・・・。

直平の悲運はここから。

1539年、今川氏から三岳城が返還され、井伊家より直平の娘・佐名（瀬名の母）が人質に出されます。

1541年、末っ子・井伊直元が病死。

1542年、子・井伊直宗（直盛の父）が三河の田原城攻めで戦死。

1544年、子・直満（直親の父）が謀反の罪で今川氏に誅殺される。

1560年、孫・直盛が桶狭間で戦死。直盛の法号をもって龍潭寺に改称。

とにかく、直平の子供たちは、直平より先に逝ってしまいます。大河ドラマでも駿府に呼び出された直親に「もう見送るのは御免じゃ～」と嘆いていましたが、これだけ先立たれると言いたくもなりますわ。

1561年、曾孫・直政（虎松 / 直親の子）が誕生しました。

男子の誕生に喜ぶ直平。

喜ぶのもつかの間、

1562年、孫・直親が謀反の罪で今川氏に誅殺されます。

生まれたばかりの虎松以外の男子が居なくなった井伊家は、直平が表舞台に再登場。

この後、大河ドラマ直虎では、虎松の助命の引き換えに出陣を命じられて、

1563年、出陣の支度をしている時に、曳馬城主・飯尾連竜の妻のお田鶴の方に毒茶を勧められ、有玉旗屋の宿にて落馬し死亡ました。

大河ドラマ直虎では、何かとやかましい爺さんでしたが、年表に並べてみるとホントに気の毒としかいいようがない人生・・・・同情します。

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新野左馬助親矩（？～1564年）

新野氏はもともと今川氏一族であり、現在の御前崎市新野地区に居住する氏族。

新野左馬助親矩も新野舟ケ谷城の城主として今川氏に出仕し、新野村三千石を治めていました。

井伊直虎の母・千賀(財前直美)の兄にあたり、徳川方へ寝返った嫌疑により今川氏真に討たれた井伊直親の子、虎松（直政）を養育した井伊家の恩人として知られています。

1564年、井伊直平の仇敵で、今川氏に謀叛を起こした飯尾連龍の引馬城を攻め、天間橋(安間橋)付近で討ち死しました。

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出典：http://www.nhk.or.jp/

今川一門でありながらも井伊氏の一門でもある新野左馬助は、大河ドラマ直虎でも、今川家の目付でありながら井伊家に加担するいいおじいさんって感じで登場しています。

小野家の台頭により、目付は小野家のイメージになってしまいますが、もともと今川氏一族であることから新野左馬助は今川からは厚遇されていたのでしょう。駿府に行く際は、いつも新野左馬助がいる気がします。

大河ドラマ直虎での直親の死後、遺児の虎松（直政）の助命嘆願に命を懸けて駿府に向かう左馬助は井伊家にとって忠臣中の忠臣です。

さて、この新野左馬助には長男。甚五郎がいて、こんな話があります。

もともと、今川家の庶家にあたる新野氏。甚五郎は今川氏の滅亡後に紆余曲折を経て北条家の家臣となっていました。

その情報を掴んだ徳川家康は、井伊直政（虎松）に井伊家臣として呼び寄せてはどうかと提案します。

しかし甚五郎は小田原征伐において、まだその情報を知らなかった直政隊の攻撃によって戦死してしいます。

恩人の子を殺し、新野家を絶やしてしまったと後悔した直政は、左馬助の娘たちを家臣らに嫁がせました。

また、直政の子・直孝は左馬助の娘たちに10人扶持（1年分の米を10人分）も与えています。

こうして命の恩人・新野左馬助の井伊家に対する忠義は、時代を経ても色あせず語り継がれていきました。

中野直由（？～1564年）

中野氏は井伊家の分家で、直由の妻（息子・中野直之の妻とも）は奥山朝利の娘であった。

妻は大河ドラマ直虎で、直親の妻・しのと姉妹にあたるわけです。

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出典：http://www.nhk.or.jp/

中野直由は井伊直盛の代から重臣でした。

大河ドラマ直虎でも、井伊直盛の桶狭間出陣の際、中野直由は井伊谷の留守居を任されていましたが、直盛にとっての最後の頼みの綱だったのかもしれません。出陣できずに気を落とす直親に、ぬかりなく準備するのが我らの戦と諭す、良い兄貴分的存在です。その後、戦死した直盛の遺言によって、養嗣子・直親の後見役として、この中野直由が指名されます。

直親の死後も、老齢の井伊直平を支えるべく活躍していましたが、直平は曳馬城で毒殺されてしまいます。

1564年、今川氏真は井伊氏と近い新野左馬助親矩と井伊家を預かる中野直由に曳馬城攻撃を命じます。

しかし、飯尾連龍の反撃に合い、中野直由は曳馬城の天間橋という所で新野親矩と共に討死してしまいました。

大河ドラマ直虎では井伊直平、奥山朝利ら井伊家の人間が、小野家を嫌うように中野直由も小野政次を嫌っています。

奥山朝利殺害事件の際、政次成敗を唱えるものの直親の采配によって断念しましたが、小野政次には「写経をやってるのか？かわいいとこもあるではないか。」と語りかけるなど、どこか優しさも感じる中野直由。

この中野直由の戦死により、井伊谷には主がいなくなり、井伊直虎が誕生することになりました。

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