大河ドラマ直虎【水野の兄・水野信元】悲劇は信康だけではない！於大の方が長丸を生まれ変わりと言った知多半島の雄・水野信元とは？

大河ドラマ「おんな城主　直虎」の第45話「魔王のいけにえ」で、家康の側室が生んだ男子・長丸（のちの徳川秀忠）を抱いた家康の母・於大の方は、「この子は、水野の兄の生まれ変わりのよう」と話し、家康や酒井忠次の顔を曇らせました。

その後、家康が信長から嫡男・信康を殺すよう圧力をかけられた際に、榊原康政は「於大の方の兄・水野殿は武田に通じたと織田に言いがかりをつけられて、徳川が斬らざるを得なくなった。」と万千代に話しています。

この「水野の兄」、「於大の方の兄・水野殿」というのが、今回紹介する水野信元。

徳川信康と瀬名に悲劇が訪れる3年前、徳川に暗い影を落とした事件、殺された水野信元について簡単に紹介します。

 

 

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水野の兄・水野信元

水野信元は、尾張国知多郡～三河国碧海郡西部を領有した水野忠政の次男として誕生した。

水野信元の生年は分かっていないが、三男・信近の生年が1525年であることから、それ以前に生まれたことだけは分かる。

長兄の水野近守は早くに死去しており、1543年の父の死去を受けて、水野家の家督を継いだ。

異母妹に於大の方がおり、信元は徳川家康にとって伯父にあたる。

水野氏は信元が継いだ宗家の他にも、刈谷、大高、常滑などの諸家に分かれていた。

 

 

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今川氏から織田氏へ乗り換え

父・忠政は三河国と関わりが深く、松平氏と共に今川氏に協力していた。（信元の母も妻も、松平氏というズブズブの関係）

しかし家督を継ぐと信元は一転、尾張国の織田氏への協力を明らかにして、織田信秀の三河侵攻に協力し、自らは知多半島の統一に乗り出した。（これによって松平広忠に嫁いでいた妹・於大の方は離縁されている。）

そして信元は、政略結婚と侵略戦争によって勢力を拡大し、知多半島全域をほぼ支配下に治めた。

 

一方、信元の協力を得た織田信秀も三河侵攻を開始したが、1549年頃より情勢が今川氏に傾き始める。

そんな折、1551年に信秀が急死し、織田家は内紛状態となる。

1553年には、次々と城を今川氏に奪われ、知多半島西側の花井氏も今川方に転じた。

1554年、さらに今川方は攻勢を強め、水野信元を追い詰めたため、信元は信長に救援を依頼。

信長は、自らの居城を斎藤道三からの援軍に任せるという荒業で援軍に駆けつけ、信元と協力して村木砦を攻略した。

これ以降、織田陣営は勢力を盛り返し、水野氏は織田家への従属的立場が強まっていった。

 

 

 

 

甥・家康を援助

1560年、桶狭間合戦の勝利後、大高城で孤立した今川方の松平元康（のちの徳川家康）を岡崎への帰還を容認。

今川方の岡部元信が反撃に出て、刈谷城が落ち、水野信近が討死するも、信元はすぐに刈谷城を取り戻した。

信元は、今川方である松平元康と尾張南部および西三河で戦うが、しばらくして松平元康が今川家から独立。

1562年に、信元が仲介役となり、信長と家康の同盟が結ばれた。

信元は、家康が三河を平定した後も家康の相談役のような立場にあった。

この頃、末弟・水野忠重と従兄弟・水野清久が揃って家康に仕える。

その後も、信元は1563年には三河一向一揆に苦戦する家康に援軍を出すなど、甥の家康を助けた。

 

 

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主要合戦で皆勤賞

実子に先立たれていた信元は1567年頃に家督を養子の水野信政に譲る。

1568年には、信長の上洛に従軍、1570年の姉川の戦いにおいて佐和山城を攻落など武功を重ねる。

1572年、徳川と武田が戦った三方ヶ原の戦いにも信元は援軍として参陣した。

この戦いで信元は篭城戦を主張して、野戦を主張する家康と対立した。

家康は野戦に踏み切るも、あえなく敗走。信元は意気消沈の家康に代わり浜松城を指揮した。

1575年には、長篠の戦いに参陣。

このように水野信元は、織田家の主要な合戦には常に参加しており、相当の石高（24万石とも）を有していた。

 

 

 

 

突然訪れた悲劇

1576年、織田の重臣・佐久間信盛の讒言があり、信元親子は信長の命で甥・家康によって三河大樹寺で殺害される。

信元殺害の原因は、1575年の武田家臣・秋山信友の美濃国岩村城を包囲した際、水野領から岩村城に兵糧を流した疑いをかけられ、これを聞いた佐久間信盛が、信元の内通を信長に訴えたことによるもの。

刺客役を命じられた平岩親吉は、信元を斬った後「命によりやむをえず刃を向け申した」と涙ながらに詫び、案内役をしていた久松俊勝は責任を感じ、出奔してしまう。

久松俊勝に嫁いでいた信元の妹・於大の方とその子たちは、家康に引き取られることとなった。

兄を殺された於大の方は、手引きをした信康傘下の岡崎衆を深く恨み、これが信康と瀬名の悲劇に繋がったとも言われる。

そして信元の所領は、そのまま佐久間信盛が領有した。

1580年、佐久間信盛は信長に追放されるが、追放理由の中には「信元は冤罪だった」ことが記されている。

その後、信長は家康の下にいた信元の末弟・水野忠重を呼び寄せ、信元の旧領を与えて水野家を再興させた。

 

 

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