大河ドラマ「いだてん」
第34話「226」【感想】
この記事では大河ドラマ「いだてん」の第34話「226」の感想と、勝手にMVPを決めています。
226事件を食った大竹しのぶの演技
大河ドラマ「いだてん」第34話「226」どうでしたか?
日本の暗黒時代を表すかのように最初から暗い場面の連続で重ーい気持ちになりましたが、途中から清さんの爽やかさが全てを洗い流してくれたような。
また、最後は226事件の雰囲気を吹っ飛ばしてくれるような池部幾江の涙、嘉納先生のアツい思いでものすごく感動しました。
では、「ラトゥール東京に来るってよ」の第34話おさらいです。
最初は副題のとおり226事件の発生から。
昭和11年2月26日、「昭和維新」「尊王斬奸」を掲げた青年将校たちが武力蜂起。
大蔵大臣・高橋是清が殺害されるなど東京が大混乱となる中、田畑政治のいる朝日新聞もムチャクチャに。
テレビの画面も暗いので、とにかく話が重たい。
もう日本はどうなっちゃうの?みたいな雰囲気ですけど、実はこの226事件自体は3日間で終結しちゃうとても短いクーデター。
では、なぜ青年将校たちはこんなことしたんでしょうか?
一応、調べてみると青年将校たちは政治腐敗と農村の困窮に不満を持っていたようで、それを変えるには天皇が政治を行う天皇親政が必要だと考えたよう。
幕府から政治を天皇(朝廷)へ取り返した「明治維新」をマネてといったらなんですが、政治家から天皇親政に切り替える「昭和維新」がしたかったってことね。
結局、この226事件は天皇が拒否し、青年将校たちは「叛乱軍」と見なされるから一気に事態は収束に向かうのですけど、問題になってくるのはこのあとなんですよね。
処罰されたものの青年将校たちの行動は国民から賞賛され、国際協調路線だった政治家たちの発言力はダダ下がり。
そして対外強硬策を唱える軍部の発言力が増していって「戦争」へという流れに。
あまりに重苦しい内容で、バッサリ言ってしまえば「つまらない」。
特にコメディー要素が強い「いだてん」では明らかに雰囲気が変わってしまって違和感もある。
それでも、オリンピックと絡めてこの歴史の転換期を描こうとしたことは「歴史」を伝える要素もある大河ドラマとしてのプライドみたいなものを感じました。
さて、226事件が終息しても物々しい雰囲気が続く東京。
そんな中、IOC会長・ラトゥールが嘉納治五郎の招きに応じて東京を視察にやってくる。
「こんな時にこそオリンピック」が信条の嘉納先生。
「どんな時でもオリンピックだな」なんて田畑政治の厳しいツッコミもありましたが、嘉納先生のアツい思いはとまらねぇ。
「やるんだよ!」
こんな人がいたから、日本のスポーツが発展したんだろうなぁと改めて嘉納治五郎の偉大さが分かる一幕でした。
東京に到着したラトゥール。
「あくまで自然にな!自然だぞ!大げさにすんなよ!」みたいな嘉納先生のフリ。
かつてオリンピックでメダルを獲得した人見絹枝たちを駅で迎える時、田畑政治が言った言葉をソックリ(笑)。
そしてもちろん、一番最初に大げさにはしゃいじゃうというオチ(笑)。
二人は似てるってことなのかな?
そしてラトゥールの東京視察には、久しぶりに登場した人力車夫の清さんが一役買うことに。
落語の席ではラトゥールと肩を組み、腹が減ったら自分の日の丸弁当を差し出す清さん。
この人の馴れ馴れしいけど、嫌味のないサッパリした性格は実に清々しいしカッコいい。
ホントにいい男だね。いい夫もらったよ小梅はさ。
また、嘉納治五郎もラトゥールに対して、正直に自分が「ローマに辞退させる」という小細工を用い、東京にオリンピックとを持ってこようとしたことを謝罪。
杉村陽太郎も男らしくIOC委員の辞任を表明し責任をとる。
これぞサムライ!!
柔道の中には、間違いなく武士道の精神が流れている。
通訳がおっつかないほどに熱く語る嘉納治五郎の思い、ラトゥールは言葉は分からなくてもグッときたんだろう。
その後、ラトゥールは大変な状況の中でも子供たちがオリンピックごっこをしている姿を見かけてスッカリ東京オリンピック支持の方向へ。
またもや成功した嘉納治五郎「開き直り作戦」。
同じことを違う人がやったら無理でしょコレ。
バカに思えるほど純粋な嘉納治五郎だからこそ、そんな嘉納先生に魅了された人たちが周りにいてこそ成り立つ話だよね。
このドラマを見るまで、嘉納治五郎なんて「柔道の創始者」ぐらいにしか思ってなかった。
けど、この人が日本スポーツの発展のため、オリンピックのためにやってきたことを考えたら、そんなの嘉納治五郎のほんの一部だった。
ここまで偉大な人だったとは。
正直、大河ドラマの主人公はこの人で良かったんじゃないんかと思う今日この頃です。
一方、「いだてん」前半の主人公・金栗四三のほうにも動きが。
嘉納先生の要請に応えるため、家出して東京行きを決めた四三。
226事件の影響の避けるため、一度上京を諦めて家に戻るもスヤさんや池部幾江は家出したことにすら気づいていない。
ここまで四三の扱いが酷くなっていたとは(笑)。
前回も美川秀信と久しぶりに再会しただけでボロカスに怒られてるし。
ホントかわいそうだわ四三・・・・。
しかし、今回はこっからが違う。
ラトゥール視察が終わるころ、四三は嘉納先生からの手紙を見せて「東京に行きたいです」と告白。
すると、義母・池部幾江は「行きたきゃ行け!そん代わりキッチリ成し遂げてこい!」と意外な反応をする。
幾江さんも、つまんなそうに働いてる四三の姿を見てるのが心痛かったのかな?
ソワソワしている四三の態度に気づいて覚悟を決めてたんでしょうね。
家出には気づいてなかったけど(笑)。
幾江さんの許可が出たことで四三もホッと胸をなでおろしますが、ここでちょっとしたドラマが。
「俺なんかおらんくても寂しくないでしょうが」
なんて、四三が自虐的なことを言うと幾江さんが激昂。
「寂しくないことなんかあるか!走ってばかりの息子でも4年もおらんだら寂しいわ!それが親じゃ!アホか!実の息子に先立たれたんじゃ、実の親を亡くしたお前も覚悟きめて親子にならんか!」
いつも四三には厳しい言葉しか浴びせないけど、心の中は本当に優しいお母さん。
涙ながらに訴える幾江さんに思わずポロポロともらい泣きしてしまったわ。
このあと、幾江さんに泣いて抱きつく四三や、それを引きはがそうとする子供たちにはホッコリ。
泣きながら笑顔になれる素敵な瞬間でした。
しかし、分かっているけど大竹しのぶさんの演技がすごいというか、飛び抜けてる。
あのシーンだけで池部幾江の存在感を強烈に残していった。
前半のあの重苦しい事件がなんだったのかと思えるほどに。
歴史も主役も、大竹しのぶさんは完全に食っちゃってますよ。
さぁ、来週は予告にも声だけ登場してましたが杉咲花さんが再登場だぞ!
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第34話「」
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