大河ドラマ「いだてん」
スウェーデン体操と肋木(ろくぼく)
2019年NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」で登場する杉本哲太が演じる「永井道明」が必死になって推進していたのが『スウェーデン体操』という運動。そしてその『スウェーデン体操』に必要な器具として学校に設置されたのが『肋木(ろくぼく)』と呼ばれるものでした。
誰もが一度は見たことがある学校の体育館にあるハシゴ状の謎の物体。あれが『肋木(ろくぼく)』です。
この記事では「永井道明」が推進していた『スウェーデン体操』と、現在では体育館の遺物となってしまった『肋木(ろくぼく)』の数奇な運命について紹介していきたいと思います。
※最後には『肋木』を使った運動の動画も貼っておきますので、マスターした方は体育館に行って可哀そうな『肋木』を使ってあげて下さい(笑)。
スウェーデン体操
スウェーデン体操は、スウェーデンの生理学者であるペール・ヘンリック・リングによって解剖学、生理学、物理学の見地から合理的な運動を目指して生み出された体操で、1813年に「中央体操学校」を設立し、後継者が医療体操、学校体操としてスェーデン体操を完成させました。
日本には明治時代にアメリカで医学、体操学を学んだ医師・川瀬元九郎によって伝えられ、大正時代に学校教育に組み込まれていきました。
当時の日本は結核が「国民病」とされるほど広まっていた時代で、このスウェーデン体操は胸郭を鍛え、結核を予防できる体操と信じられていました。
出典:https://www.news-postseven.com/
肋木(ろくぼく)
肋木はハシゴ状の体操器具で、スウェーデン体操の代表的な補助器具です。
肋木の材質は主に屋内向けの木製と、屋外向けの金属製があり、一般的な高さは2.5~2.8m、幅は80~100cm。
懸垂・柔軟・平均運動などの運動が出来る補助器具であり、19世紀後半から20世紀初めにかけてスウェーデン体操の流行とともに世界中に広まっていきました。
日本でも大河ドラマ「いだてん」で登場する東京高等師範学校の永井道明などが大正2年(1913年)から学校教育に導入し、全国の学校に普及させて鉄棒や跳び箱のように体育の授業には欠かすことのできない器具になりました。
しかし、この肋木、及びスウェーデン体操を巡っては体育界の中での対立と、結核の予防になるかという科学的な検証によって不要と判断され、授業では使われないようになっていきました。
1971年、30年ぶりに肋木運動は再び「学習指導要領」に採用されて復活しましたが、すでに肋木運動を指導できる教員がおらず、体育館の単なるアクセサリーとして放置されることとなりました。
スウェーデン体操を広めた永井道明
肋木を使ったスウェーデン体操【動画】
気になる肋木を使った体操については以下に動画を貼っておきます。
下の全てが「スウェーデン体操」ではないのですが、その雰囲気だけでも味わってもらえれば良いと思います。
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