大河ドラマ「いだてん」
熊本自転車節
大河ドラマ「いだてん」で主人公の金栗四三の幼馴染として登場し、のちに妻となる春野スヤ。
綾瀬はるかさんが演じる春野スヤには序盤からホッコリさせられますが、そのホッコリ感を2倍にも3倍にも膨らませているのが、スヤが歌う民謡「自転車節(熊本自転車節)」ではないでしょうか。
実際、綾瀬はるかさんが歌うと「カワイイ~っ」て思いながらも、「ん?何だその歌の名前は?」と思ってしまった人も多いかと。
だいたい民謡と自転車が連想できないから、そんな風に感じてしまうのかもしれませんが、この「自転車節(熊本自転車節)」は急速な近代化が進んでいた明治末期において流行っていた「ハイカラ節」を替え歌にして作られたようです。
それでは今回は、いだてんの春野スヤ(綾瀬はるか)が歌う「自転車節(熊本自転車節)」の歌詞とその背景について紹介していきます。
特集‼
自転車節(熊本自転車節)の歌詞
1番
逢いたかばってん逢われんたい
たった一目でよかばってん
あの山一丁越すとしゃが
彦しゃんのおらす村ばってん
今朝も今朝とて田のくろで
好かん男に口説かれて
ほんに彦しゃんのおらすなら
こぎゃん腹も立つみゃあばってん
千代八千代
どうしたもんじゃろかい
2番
チリリンチリリンと出て来るは
自転車乗りの時間借り
曲乗り上手と生意気に
両の手離した洒落男
あっち行っちゃ危ないよ
こっち行っちゃ危ないよ
危ないよと言ってる間に
そらずっこけた
千代八千代
どうしたもんじゃろかい
自転車節(熊本自転車節)の背景
どうですか?そもそも1番には「自転車」を想像させる歌詞は全く出てきません。
しかし、2番になると「自転車」感が満載で、もはや「自転車節(熊本自転車節)」でしかないww。
結局、この歌の題名って2番のとこから来てるんだと分かります。その題名の付け方は斬新すぎてついていけませんww。
この「自転車節(熊本自転車節)」には元歌があって、それが明治時代末に東京で流行った「ハイカラ節(ハイカラ・ソング)」といいます。
この「ハイカラ節」は神長瞭月(かみながりょうげつ)が作詞、作曲し、バイオリンの弾き語りで広められたものでした。
歌の伴奏にバイオリンを使ったのはこの神長瞭月が初めてて、移り変わりの激しい世の中を少し皮肉った歌詞と見事にマッチして大流行したといいます。
この元歌「ハイカラ節」にも「自転車乗りの時間借り」という歌詞があり、明治時代初めにハイカラ(よく洋風かぶれの意味で使われる)な乗り物として登場した自転車は、明治10年代にはまだまだ高級品で、それでも乗りたい人のために貸し自転車がありました。
新しいもの好きの職人などは競うようにして自転車を借り、仕事を終えた夕方から夜にかけて市内を走りまくってたらしいです。
ちょっとカワイイですよね。
でも、無灯火運転、衝突事故は日常茶飯事で「迷惑車」と呼ばれた時期もありました。
明治30年代に入ると欧米製の輸入車が値下がりし、質の良い国産自転車も登場します。
さすがJAPANすよ!
そして自転車は上流階級や金持ちからの独占物ではなくなり、実用品として生活に定着し始めました。
とはいっても、現代以上に格差社会の明治時代。
若者が自転車にまたがり走り回る様は、東京でも熊本でも羨望の対象だったのかもしれません。
「自転車乗りの時間借り」の歌詞にあるように、この歌を唄う人は「危ないよ」とか「ずっこけた」とか歌って、「生意気」な「洒落男」をバカにして羨ましいという気持ちを慰めていたのかもしれません。
綾瀬はるかさんは乗りながら歌いまくってますけどね。
春野スヤはそもそもお金持ちだからwww
↓は色んな自転車節です。
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