大河ドラマ「いだてん」
『フラがある』
大河ドラマ「いだてん」で酒に酔って初高座に上がり、途中で噺を切り上げてしまった美濃部孝蔵(三遊亭朝太)は、席亭から大目玉をくらい第14話で師匠の橘家円喬から武者修行の旅を提案されてしまいます。
孝蔵は初高座での失態で自分がお払い箱になったと落胆しますが、席亭から「円喬はお前のことを買っている」と聞かされると神社での練習中に円喬から褒められていたこと思い出しました。
「芸はまだまだだが、お前さんには『フラがある』」
さて、この円喬が孝蔵に言った『フラがある』とは一体どういう意味なのでしょうか?
この記事では芸人の資質を褒める言葉『フラがある』の意味について簡単に紹介していきます。
『フラがある』って何?
『フラがある』の意味
『フラがある』とは落語業界では「生まれ持ってるおかしさや愛嬌がある」ことを言います。
古今亭志ん朝は『フラ』とは「ふっと笑いたくなるようなおかしみ、勉強してできるもんじゃない」と語っており、何とも言えない表現しにくいもの。
理屈では計算できないおかしさを自然と身にまとっているものが『フラ』で、これはどんなに稽古しても決して得られるものではありません。
しかし、この『フラ』は落語の噺のうまさとも全くの別物で、決してこの『フラがある』からといって名人になれるわけではないといいます。
ただ、芸人としての素質を褒める最大級の褒め言葉であることには間違いありません。
大河ドラマ「いだてん」では美濃部孝蔵(三遊亭朝太)は酒に酔ってベロベロの状態で高座に立ち、噺もままならないという失態を犯しますが、それでも師匠の橘家円喬は孝蔵を見放さず、「お前さんには『フラがある』」と期待を寄せていました。
そして円喬の期待通り、やがてこの美濃部孝蔵は紆余曲折を経て当代きっての落語の名人「古今亭志ん生」になっていきます。
古今亭志ん生
実際の古今亭志ん生もこの大河ドラマと同じく、酒に酔い、高座で寝てしまったこがあるようですが、それでも客は喜び、のちのちの語り草になっていました。
正に『フラがある』からこその逸話と言えるでしょう。
失敗しても周りを笑わせて許されてしまう。
常に何とも言えないユーモラスな空気が漂わせ、面白いことを話しているわけでもないのに、なぜか自然に笑顔になってしまう。
みなさんも人生の中で、そういう人に一人ぐらいは出会ったことあるのではないでしょうか。
その人がもし芸人になっていたら、もしかすると古今亭志ん生のような落語家になれたかもしれませんね。
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