大河ドラマ【いだてん】
~東京オリムピック噺~
大河ドラマ「いだてん」の第10話、金栗四三と三島弥彦を擁する日本は初めてオリンピックに出場することになりました。
しかし、ここで一つ問題が起きて日本選手団はモメにモメることになってしまいます。
その問題となったのが、開会式における日本のプラカードの国名表記でした。
現在では当然のように「JAPAN」と表記されており、違和感を感じる人はいないと思いますが、当時の外国人にとっては日本なんて辺境の小国に過ぎず、誰も国名をどう表記していいのか分かりません。
「はぁ?どこそれ?」って思いながらも、事務局はお仕事ですから開会式にはプラカードを用意しなければなりません。
そこで真面目な事務局は日本選手団に直接聞いてみることにしました。
「どうする?なんて書けばいいっすか?」
この問い合わせが、日本選手団内を対立させることになろうとも知らず・・・(笑)
大森兵蔵と嘉納治五郎
事務局からの問い合わせに、日本選手団監督の大森兵蔵は「国際大会だし、『JAPAN』でよくね?」と意見を述べます。
大森兵蔵はアメリカ留学をし、アメリカ人を嫁に持つ国際人ですから、当然のことのように意見したのでしょう。
さらに、この大森兵蔵の意見に嘉納治五郎も「やっぱ『JAPAN』だよねぇ」と同意します。
嘉納治五郎も海外に渡って柔道を世界に広めた国際人ですから、何の問題もないと思ったのではないでしょうか。
これで記念すべき日本最初のオリンピックのプラカードには『JAPAN』と表記されるものと思われましたが、ここであのクソ田舎モンがケチをつけてきます(笑)。
大森兵蔵
金栗四三と三島弥彦
二人の意見を聞いていた熊本のクソ田舎もんの金栗四三は、何を思ったか『JAPAN』ではなく『日本』を主張しました。
「『日本』じゃなきゃ、私出ませんから!」
これには、みんなポカーンです。
金栗四三の意見としては『JAPAN』は英国人がつけた呼び名であり、自分はあくまで『日本人』だという主張です。
たしかに日本人として『日本』の国名にプライドを持つのはいいんですが、漢字で書いたら欧米人には分かるわけないでしょうよ・・・・。
そんな世間知らずな田舎者の意見には、当然ながら大森兵蔵、大森安仁子、三島弥彦が反対します。
「読めなきゃ意味ないんだよ!東洋の日本が国際大会に参加することを世界の人々に知らせる必要があるんだよ!」
至極まっとうな意見ですよね。
「日本スポーツの黎明の鐘となれ」と送り出された日本選手団にとって、東洋の果てに日本があることを知ってもらういい機会なんですから。
しかし、金栗四三は「すいまっせん。俺は頑固な肥後もっこすだけん」と全く折れようとしません。
すると、最初は『JAPAN』がいいと言っていた三島弥彦が金栗四三に賛同し始めます。
「金栗君とは戦友だ!国の名前が違っていては共に戦えない!」
いつの間にか、金栗四三と三島弥彦は固い絆で結ばれるようになっていたんですね。
結局・・・
三島弥彦の援護を受けた金栗四三はここで自分のこれまでを語って聞かせます。
熊本から上京し、いつのまにか東京から大陸を渡ってきた。
くじけそうになった時は、熊本の人々、東京高等師範学校の面々の顔を思い出して乗り越えてきた。
自分は『JAPAN人』ではなく、『日本人』なんだと。
感動しそうなところではありますが、正直「で?」って話です(笑)。
そんな意味不明な四三の言葉に、これまで黙って聞いていた嘉納治五郎が動きます。
「自分が遅れたせいで皆の気持ちがバラバラになったかと思ったが、そうではない。互いに認め合うから意見をぶつけ合うんだな。私の不在が皆の成長を促した。遅れてきて大正解!」
相変わらず、この人も意味不明っす・・・・。
で、嘉納治五郎はプラカードの国名を『NIPPON』と書き記すのです。
治五郎先生、結局は間をとったってことなのかな?(笑)
ちなみに、この『NIPPON』の表記は今回のストックホルム・オリンピックのみ使用されただけで、次回からは『JAPAN』に変わってしまいます。
金栗四三のワガママが生んだ一回だけの『NIPPON』のプラカードでした。
旗手:三島弥彦 プラカード:金栗四三
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