大河ドラマ「いだてん」
南昇竜(なんしょうりゅう・ナムスンニョン)
大河ドラマ「いだてん」の第35話で描かれるベルリン・オリンピックのマラソンで、孫基禎(そんきてい・ソンギジョン)とと共にメダルを獲得する南昇竜(なんしょうりゅう・ナムスンニョン)という人物。
この時、南昇竜、孫基禎、両選手が履いていたのがハリマヤの足袋(金栗シューズ)だったことから、ドラマ中では金栗四三やハリマヤの黒坂辛作が大喜びしています。
韓国併合により日本選手として出場し銅メダルを獲得した南昇竜は、同じく朝鮮半島出身で金メダルを獲得した孫基禎の影に隠れてしまう存在ですが、そもそも日本人は「いだてん」金栗四三をもってしてもメダルには届かなかったことを考えると、とんでもなく立派な成績を残した人物だと思います。
運が悪く同じレースで孫基禎が金メダルを獲ったために注目が逸れているだけかと。
この記事では、孫基禎と共にアジア初のマラソンメダリストとなった韓国の「いだてん」南昇竜について簡単に紹介しますので、もうちょっとだけ評価を高めてあげて下さい。
足元には金栗シューズ
南昇竜(なんしょうりゅう・ナムスンニョン)
朝鮮半島は日本に併合されていた1912年、南昇竜は全羅南道の順天に生まれました。
学生時代から足は速かったものの、貧困家庭に育った南昇竜は進学することができませんでした。
しかし、こののち南昇竜はその俊足を見込まれ、陸上強豪校に短期間編入学します。
ベルリン・オリンピックで共に走る孫基禎とは、同じ年に同校に在籍していますが、孫は新入生、南は編入による3年生という立場でした。
南昇竜は競技で好記録を残したものの、学業不振のために進級できずに1年で退学。
すると、南昇竜は日本に渡った直後の1935年、明治大学からスカウトされました。
在学中に箱根駅伝で活躍した南昇竜は孫基禎らとともに翌年開催のベルリン・オリンピック日本代表候補として注目を浴び、最終選考レースに出場。
南昇竜は1位となりましたが、選考会の記録が平凡だったために孫基禎、鈴木房重、塩飽玉男らと現地予選で出場枠3名を争うことになりました。
その後、ベルリンで「選手団の役員は朝鮮半島出身の2人のうち、どちらかを落とすつもりだ」という情報を聞いた南昇竜。
勝ち残るために現地でハードな練習を提案し、ついてこれなくなったライバルの一人・鈴木房重が体調を崩してしまいます。
このため、朝鮮半島出身の2人は本番に出場することになりましたが、南昇竜はのちに「鈴木には悪い事をした」と話しています。
そしてベルリン・オリンピックのマラソンでは厳しい条件の中、孫基禎の金メダルに続いて南昇竜は銅メダルを獲得。
表彰台では複雑な思いで「日の丸」を見上げ、「君が代」を聞くことになりました。
こののち孫基禎は競技を辞めてしまいますが、南昇竜は第二次世界大戦後に韓国へ戻っても選手生活を続けました。
そして引退後は、孫基禎と共に「マラソン普及会」と結成して陸上競技の指導者などを歴任。
その後、南昇竜は外部との接触を断って消息不明となりますが、1988年のソウル・オリンピックの時には姿を現しています。
2001年、逝去。享年89。
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