大河ドラマ「いだてん」
第37話【感想】
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嘉納先生の死とオリンピック返上論
大河ドラマ「いだてん」第37話どうでしたか?
ついに、ついにこの時が来てしまいました。
「いだてん」のオリンピックをここまで引っ張って来た嘉納治五郎先生の死去。
戦争が暗い影を落とす中、嘉納先生はどんな思いで旅立っていったのか。
胸が苦しくなる思いでテレビにかじりついていました(涙)
では、第37話のおさらいです。
オープニングは、オリンピック返上論をぶち上げる河野一郎(桐谷健太)の演説から。
日中戦争がはじまり、スポーツの祭典であるオリンピックを国威上昇に利用しようとする雰囲気に異を唱えた河野一郎。
言ってることは、すげー分かる。ほんと正論。
それでも、いだてん」をこれまで見てきて、オリンピック招致のために活動してきた嘉納先生たちの思いも考えると、それは容易に受け入れられない。
河野一郎は金栗四三の弟子でもあった人。
彼も愛しであろうスポーツが国の方針、特に戦争のために利用されていく姿には耐えがたいものがあったんでしょうね。
河野一郎の気持ちも分かるからホントに辛いわ。この話。
返上論が唱え始められた中、嘉納治五郎はちょっとおかしくなっちゃった?
返上なんてもってのほかで、むしろナチス主催のベルリンオリンピックのように、東京オリンピックもしなくちゃいけないと意地になってる。
どうしちゃったんだよ・・・嘉納先生。
こんなの皆が好きな嘉納先生じゃないよ~。
意地を張られれば張られるほど、このオリンピックは止めたほうがいいのでは?と思えてきちゃう。
そんな思いを代弁してくれたのは副島道正さん。
ムッソリーニを説得して東京オリンピッ招致を決めた功労者が発したハッキリした返上の言葉。
副島さんもどれだけ勇気のいることだったでしょうか。
次第に広まっていくオリンピック返上論に対する波紋。
田畑政治が指導する水泳選手たちは「みんな戦地に行っている時に泳いでいいのか」と練習にも集中できない。
金栗四三は「イヤな予感がする」と、自身がヨーロッパの戦争によって出場できなかった経験を語る。
「こんな時にオリンピック?平和の祭典のはずなのに矛盾してない?」
この言葉が胸に突き刺さります。
そもそも「なぜ走る?なぜ泳ぐ?それこそ矛盾じゃんね」っていう田畑政治の言葉は、もう何が何だか分からない、なにが正解が分からない状態であることをうまく表していたようなきがします。
そしてここで田畑政治は決断。
IOC総会に旅立とうとする嘉納治五郎に対し、田畑政治はオリンピック返上をお願いすることに。
しかし、ここでも嘉納治五郎はあくまで開催することを譲らない。
根本にあるのは「政治とスポーツは無関係」という信念でしょうが、すでに嘉納先生が東京オリンピック開催のために政治をかなり利用していたことも事実。
めちゃくちゃ悩んでいたんでしょうが、それでも「やらなくちゃいけない」というのが嘉納先生の気持ちなんだろな。
そして始まったIOC総会。
戦争に突き進む日本に非難ごうごうの各国の委員たち。
これに対して嘉納治五郎が発した言葉は「このジゴロー・カノウを信じて下さい」の一言。
30年間、委員を務め、オリンピックに協力し続けてきた嘉納治五郎。
IOC委員たちにとって、これほど重い言葉はなかったんでしょう。
これで信用されてしまうんだから、本当に嘉納治五郎ってすんごい影響力のあった人なんだなと思う。
東京オリンピック正式決定したこのIOC総会の帰路、船の中で嘉納治五郎は外交官である平沢和重(星野源)と出会う。
そして長旅の最中、体調を崩してしまった嘉納治五郎は、この平沢相手にオリンピックの思い出話を語り始める。
金栗四三の羽田予選、田畑政治のロサンゼルスオリンピックでの活躍。
そして、これから始まる東京オリンピックへの思いを馳せて笑顔になる嘉納治五郎。
「いだてん」視聴者にはたまらない一幕ですが、もうこれは嘉納先生の死亡フラグがビンビン立っていることがわかりますよね(泣)。
そしてついにその時が・・・・。
昭和13年(1938)5月4日、船内にて嘉納治五郎死去。享年77。
「精力善用」、「自他共栄」、「逆らわずして勝つ」の言葉を残し、日本だけでなく、世界のスポーツ界に偉大な功績を残した偉大な男の棺にはオリンピック旗で包まれる。
この時ばかりは返上を主張していた副島、田畑たちも深い悲しみに暮れてます。
ちょっと、金栗四三がこの場にいないことだけが可哀そうかな。
その精神と東京オリンピック開催への思いは、平沢和重や田畑政治に引き継がれ、いよいよ「いだてん」は最終章へ。
かなり泣かされる回でしたが、本編終了後の山下泰裕さんのインタビューがやばすぎるっす。
嘉納先生のことを語ってるとき、声が震えてますやん。
山下さんイイ人・・・思わず、もらい泣き・・・
現在の柔道家にもここまで想われてる嘉納先生の偉大さが改めて分かりました。
2020東京オリンピックでは嘉納先生のことを世界に知らしめるべく、是非、開会式で何か催しをやって欲しいものです。
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