大河ドラマ「いだてん」
戒厳令とは
大河ドラマ「いだてん」で嘉納治五郎たちが東京オリンピック誘致に向けて動き出す中で東京で起こるのが二・二六事件です。
この二・二六事件は、陸軍の青年将校たちが「昭和維新」を掲げて首相官邸などを襲撃したクーデターで約1,400名もの人間が関与していました。
そして大混乱となった東京を鎮静化させるために出された法令が「戒厳令(戒厳)」です。
「いだてん」では関東大震災時にもこの法令が出されていますが、今回改めて紹介していきます。
戒厳令とは
戒厳令とは戦時や自然災害、暴動等の緊急事態において、国民の権利を保障した憲法・法律の一部の効力を停止し、行政権・司法権の一部ないし、全部を軍部の指揮下に移行する「戒厳」を定めた軍事法。
戒厳は本来、テロなどによる治安悪化や過激な暴動を中止させるために発令され、基本的には夜間外出禁止令も伴うことが多い。
発令されれば、通常の民事法・刑事法の適用は一部または全部が停止されて軍法による統治が行われるため、非常事態宣言よりも重大な事態であるといえる。
また、戒厳はクーデター、民衆の抗議、デモ等により政府が危機に陥った際に、反政府勢力を抑える目的で発令されたり、戦時中や民政政府が機能していない場合、または存在しない場合に発令される場合がある。
日本では大日本帝国憲法の第14条において、「天皇は戒厳を宣告す。戒厳の要件及効力は法律を以て之を定む」と定められ、憲法の体系に組み込まれた。
なお、日本の現行法には戒厳に関する規定、戒厳令に相当する法令は存在しない。
日本は3度の戒厳が布かれた
日本の戒厳令においては、「①臨戦地境」と「②合囲地境」が定められていた。
①臨戦地境とは、戦時にあって警備を要する地域のことで、軍事に関する事件に限り、地方行政・司法事務が該当する地域の軍司令官の管理下に置かれる。
②合囲地境とは、敵に包囲されている、または攻撃を受けている地域のことで、一切の地方行政・司法事務が該当する地域の軍司令官の管理下に置かれる。
臨戦地境戒厳は日清戦争中、日露戦争中に布かれたことがあるが、合囲地境戒厳は発令されたことはない。
しかし日本史上、上記のように戒厳令で規定された戒厳の他に、東京周辺にて『緊急勅令』に基づく「行政戒厳」が宣告された例が3つある。
①1905年(明治38年)9月6日 – 11月29日、日比谷焼打事件時
日露戦争後に締結されたポーツマス条約により、賠償金が得られないことが分かった国民たちが暴徒と化して内務大臣官邸、交番などが焼き討ちする事件が起こしたため。
②1923年(大正12年)9月2日 – 11月15日、関東大震災時
③1936年(昭和11年)2月27日 – 7月16日、二・二六事件時
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