大河ドラマ「いだてん」
人見絹枝
大河ドラマ「いだてん」で菅原小春さんが演じるのが日本女子初のメダリストとなる『人見絹枝』。
『人見絹枝』のスポーツ万能のイメージどおりに「いだてん」では体育会系(ダンサー)をキャストに入れてきましたね。
「いだてん」の金栗四三が日本スポーツ黎明の鐘を鳴らした人物なら、この『人見絹枝』は日本女子スポーツの鐘を激しく打ち鳴らした女性になると思います。
世界と偏見と重圧と戦った強い女性の姿を菅原小春さんがどのように表現してくれるのか、非常に気になるところですが、きっと世界を舞台にするダンサー・菅原小春なら「すげーこの人」って思えるぐらい演じきってくれるものと期待しています。
では、今回は強く、美しく、儚い炎の女子ランナー『人見絹枝』について簡単に紹介していきます。
特集!人見絹枝と有森裕子の「8月2日」
万能選手・人見絹枝
人見絹江は1907年(明治40)岡山県で生まれ、女学校に入学してからはテニス選手として活躍していました。
しかし、1923年(大正12)に岡山県女子体育大会に出場すると、走り幅跳びで日本新記録で優勝して陸上選手としての才能を開花させます。
そして二階堂トクヨが塾頭を務める二階堂体操塾(現在の日本女子体育大学)に入学すると、本格的に体育の指導を受けた人見絹枝は1924年(大正13)の岡山県女子体育大会で三段跳びで世界最高を記録しました。
その後も数々の好記録を打ち立てた人見絹枝でしたが、当時は女子のスポーツについてまだまだ理解がない時代です。
周りの人々から冷たい目で見られていたといいます。
出典:http://www.ssf.or.jp/history
卒業後、人見絹江は体操教師となりますが、陸上競技大会に出場すれば多くの種目で優勝をかっさらっていきました。
人見絹江がここまでの活躍が出来た理由は、身長170㎝という体格に恵まれていたからです。
さらに人見絹江は運動能力に優れていただけでなく、文章が巧みで文学的資質も認められていました。
このため、1926年(大正15)に人見絹江は大阪毎日新聞社に入社することができ、運動課に配属されます。
そして東京・大阪朝日新聞社が主催した四大陸上競技大会の第1回女子競技に出場した人見絹枝は50m走と三段跳びで優勝。
続く関東陸上競技選手権大会では100mで優勝し、砲丸投げでも日本新記録を叩き出します。
その後も数々の大会の様々な種目で日本新記録を連発する人見絹枝。
その活躍はついに海を渡り、第2回国際女子競技大会に唯一の日本人として出場すると、走幅跳びで世界新記録を出して優勝し、その他の競技でも好成績を残しました。
この時、人見絹枝は専属コーチや年間トレーニングの重要性を実感し、その後に著書を通じてその必要性を訴えていくことになります。
人見絹江、日本女子初のメダリストに
1927年(昭和2)、人見絹枝は谷三三五にコーチを依頼するとさらに磨きがかかり、国内、国外を問わず大会で優勝しまくっていきました。
1928年(昭和3)アムステルダム・オリンピックが開催されると、人見絹枝は女子の個人種目全て(100m、800m、円盤投、走高跳)にエントリー。
特に100m走には並々ならぬ思いで臨んでいきます。
しかし、どうしたことか人見絹枝は準決勝で敗退してしまいます。
この結果に人見絹枝はショックのあまり、合宿所に戻っても食事も喉を通らず、泣きはらして一睡もできなかったといいます。
その後、負けて日本には帰れないと感じていた人見絹枝は、これまで一度も走った経験のなかった800m走での雪辱を誓いました。
そして決勝では人見絹枝はドイツのラトケ選手は次ぐ2着となって銀メダルと獲得し、人見絹枝は日本人女性初のオリンピックメダリストとなりました。
この決勝はゴール後にラトケ、人見とも失神してしまうという過酷なレースであったため、女子800mは次のオリンピック以降、一時的に種目から除外される契機となりました。
「紅い稲妻」人見絹枝の最期
オリンピック後、人見絹枝は日本女子史上初のメダリストとして後進の育成や講演会などで多忙を極めますが、陸上競技大会があれば出場して好成績を残していきました。
しかし、「紅い稲妻」の異名を持ち、鉄人のような活躍を見せていた人見絹枝もやはり人の子。
半月で5つの大会に出場するなど無理をしていたために体調を崩し、それでも休養をとらず新聞社での仕事もこなしたため、1931年(昭和6)に肋膜炎と肺炎を併発して24歳で亡くなってしまいました。
「人前で太ももをさらすなど日本女性にはあってはならない」という世間の風潮に真っ向から立ち向かっていた人見絹枝。
「いくらでも罵れ!私はそれを甘んじて受ける。しかし私の後から生まれてくる若い女子選手や日本女子競技会には指一つ触れさせない!」と残した言葉どおり、遺志はその後の人物に引き継がれ、飛躍的な発展を見せていくことになるのです。
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