日本神話

日本の神様・神話 【神武東征②】イワレビコ・ニギハヤヒ

投稿日:2016年12月17日 更新日:

 日本の神様 日本神話
【神武東征②】

日本神話の中で様々な神様が登場してきましたが、「天孫降臨」によって物語も神代から人代に変わり、前回に続いて主役は神武天皇になります。

後に神武天皇となる神倭伊波礼毘古命(別称:若御毛沼命、始馭天下之天皇 カムヤマトイワレビコ 以下イワレビコ)は、天下を治めるべく先祖の地を離れて、東へ向かうことになりましたが、白肩津(大阪)に着いたところで土地の豪族の那賀須泥毘古(別称:長髄彦 ナガスネヒコ)の攻撃を受け、長兄の五瀬命(イツセ)が死んでしまいます。「日の神の皇子である我らが、日に向かって戦うのはよくない。これからは日を背にして戦う」を誓い、いったん紀の国(和歌山)を南下して熊野を目指します。

神武東征 熊野

兄達の死を乗り越えて、ようやく熊野にたどり着いたイワレビコ一行ですが、大熊の姿が見えた途端に毒気にあたり、みんな気を失ってしまいます。

死んだふりかもね

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出典:http://massivelog.cocolog-nifty.com/

すると、高倉下(別称:天香語山命 タカクラジ)という地元の者が一振りの剣を持って現れます。

この剣は神剣、布都御魂(フツノミタマ)で高天原の天照大御神(アマテラス)高御産巣日神(タカミムスヒ)が、葦原中国の平定時に使用した剣を雷神である建御雷之男神(別称:建御雷神、武甕槌神、武甕雷男神、建布都神 タケノミカヅチノオ)に命じて下したものでした。

この神剣の霊威は絶大で、瞬く間に熊野の荒ぶる神々はおのずと斬り倒され、イワレビコは目を覚まします。

さらにタカミムスヒは熊野の先には反抗する神が多いからと、イワレビコ一行の案内役に八咫烏(ヤタガラス)を遣わします。

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photo:葦尊彦

イワレビコは道なき道を進み、途中に魚をとる神、尾を生やした神など在地の神に忠誠を誓わせ、ついに大和の東、宇陀(ウダ)に到着します。

高御産巣日神は↓

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布都御魂と建御雷之男神↓

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神武東征 大和平定

大和に到着しイワレビコ一向でしたが、宇陀には豪族、兄宇迦斯(別称:兄猾 エウカシ)弟宇迦斯(別称:弟猾 オトウカシ)の兄弟がいました。

イワレビコ八咫烏を使いとして出し、「天の御子に従うか」を問います。

弟のオトウカシは怯えて恭順の意を示しますが、兄のエウカシは鏑矢を放ち宣戦布告します。

さらに、エウカシは罠を仕掛けた御殿を急いで造ってイワレビコに従う姿勢を示し、イワレビコを誘い込んで討つ策を立てます。

しかし、オトウカシは兄の陰謀をイワレビコに話したため、エウカシは軍務を担当する道臣命(ミチノオミ)らによって攻め立てられ、自分が設けた罠に押し込まれて巨大な岩に押しつぶされてしまいました。

兄を売った弟

その後もイワレビコ一行は大和平定を目指し、忍坂では八十梟帥(別称:八十建 ヤソタケル)たち土雲(ツチグモ)と呼ばれる多数の豪族たちを料理を出して接待し、歌を合図に隙をついて打ち殺します。

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神武東征 即位

大和平定を目指したイワレビコは、兄の仇ナガスネヒコと一戦交えて敗走させます。

イワレビコの大和平定が目前となった時、邇芸速日命(別称:饒速日命、櫛玉命 ニギハヤヒ)イワレビコのもとにやっていきます。

ニギハヤヒは、このイワレビコ一行の東征以前にアマテラスから十種の神宝を授かり、天磐船に乗って高天原から大和の地に降臨していたと言う。

えっ・・そうなん・・なんかごめん・・・

ニギハヤヒの臣下であった兄の仇のナガスネヒコは、イワレビコに逆らったためニギハヤヒ自らの手で誅殺し、ニギハヤヒは神宝を献上してイワレビコの臣下になることを願い出ます。

ライバルの死があっけない・・・

こうして大和での政権を確立したイワレビコは、畝傍山の白檮原(橿原 カシハラ)宮を造営して、初代天皇として即位し、神武天皇となりました。

「天皇」の名称は、のちにつけられた謚名(オクリナ)ですのでイワレビコは、「私は神武天皇だ!」とは言ったことはありません。

ちなみに、明治政府によって、この日が紀元前660年2月11日のこととされたため、建国記念日が制定されています。

おわりに

終盤に突然、ニギハヤヒが登場し、自分より先にヤマトに降臨している神がいたことが分かるわけですが、アマテラスが神宝を授けていることからも高天原から勝手に降臨したわけではなく、命を受けて降臨しているのでしょう。

知ってるんだったらアマテラスら高天原の神々も、東征の前にイワレビコニギハヤヒに情報与えてあげてもいいのに。

古事記は、天皇賛美の書物を捉えられがちですけど、今回の神武東征では初代天皇がナガスネヒコに大敗北して兄を失うなど、決して完全無欠の絶対的な神、勝者として描かれていないところが素晴らしいです。

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