日本神話

日本一の神様④ 日本神話 八百万の神々の中で一番の神様を紹介

投稿日:2016年11月18日 更新日:

日本一の神様 日本神話
「黒幕」

今回、日本一として紹介するのは日本一の「黒幕」の神様です。当然、異論はあるかと思いますし、気を悪くする方もいるとは思いますが、これまでどおり神様のような広い心でお許しください。
「黒幕」という言葉は、表の最高権力者を裏で操る人物や最高権力者を降りた後にも政治的影響力を行使する人物など悪いイメージで使われがちですが、この神様が特に悪い神様という意味ではなく、絶対的な最高権力者の神様が世間には認知されている陰で、実は重要な役割を果たして最終決定をしていたという意外性のある神様として紹介します。この神様は、それだけの役割を果たしながらも、今日において祀れている神社も少なく、過小評価されている気もするかわいそうな神様でもあります。

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最高権力者の神様

さて、神様の中の最高権力者といえば、平成25年に式年遷宮があった伊勢神宮に祀られる高天原を統べる司令神、太陽神、皇祖神の天照大御神(アマテラス)が有名です。その名は文字通り「天に照り輝く太陽」を意味し、親神である伊邪那岐命(イザナギ)が日向の阿波岐原の海で全身を浄め、左に目を浄めたときに生まれました。イザナギは美しい日の神様の誕生をたいへん喜び、アマテラスに高天原を支配するよう命じます。最高司令神となったアマテラスは八百万の神々を統治し、その後天岩戸に身を隠した際は世界中に災いが起こって、高天原が大慌てになるなど、アマテラスなしでは世界は崩壊してしまうほどの実力者です。

前述のとおり、このアマテラスにも親神(イザナギ)は存在し、イザナギ以前にも神世七代、別天津神五柱の神様が存在します。この別天津神五柱のうち、最初に現れた三柱の神様を造化三神と呼び、この三神の中の「高御産巣日神(タカミムスビノカミ 以下タカミムスビ)」こそが今回紹介する「黒幕」の神様です。

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高御産巣日神とは

タカミムスビは、天地開闢のはじめに最初に現れた宇宙の根源神である天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ 日本一の神様②で一部紹介)に続いて現れた神様で、その名は「ものを生み出す生成力、生産力」を意味しています。

では、なぜこのタカミムスビが「黒幕」なのか。実はこの神様、古事記、日本書紀では「天孫降臨」、「国譲り」、「神武東征」などの重要な場面にたびたび登場。特に日本書記の「天孫降臨」では、アマテラスは登場せずにタカミムスビが最高司令神として描かれてます。

タカミムスビは娘の万幡豊秋津師比売命(ヨロヅハタトヨアキツヒメノミコト)をアマテラスの子である天之忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)と結婚させて、皇室の祖先となる天孫、邇邇芸命(ニニギノミコト)を誕生させます。

また、天孫降臨に先立ち、タカミムスビは葦原中津国(地上世界)の平定を図り、アマテラスと共に使者を派遣して地上の主神である大国主命(オオクニヌシノミコト)に統治権を譲らせます。さらに神武東征時には、熊野で苦しむ神武天皇に布都御魂剣(フツノミタマノツルギ)を高天原から下ろしたり、八咫烏(ヤタガラス)を道案内に派遣するなど強力に支援していることからも、アマテラスが高天原の最高司令神として唯一絶対の力を持っていたわけではないことがよく分かると思います。

おわりに

タカミムスビは、記紀神話において非常に大きな役割を果たしていて、皇室の祭祀では祀られたりしていますが、民間信仰においてはアマテラスが太陽のように輝きすぎて、本当にその影に隠れる「黒幕」になってしまいました。でも、この神様なしには「天孫降臨」などは語れないことからも、日本一の「黒幕」の神様として選び、影の実力者を応援していきたいと思います。

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