日本の神様 日本神話
【大国主命 大己貴命①】
日本神話の中で色々な神様が登場し、現在、最も尊い神として君臨するのは伊勢神宮に祀られる太陽神、皇祖神の天照大御神(アマテラス)ですが、はるか昔の出雲において最も尊いとされていたのは、今回紹介する出雲大社や大神神社で祀られる大国主命(オオクニヌシ)でした。
オオクニヌシは、「大己貴命/大穴牟遅命(オオナムチ)」、「葦原色許男命(アシハラシコオ)」、「大国玉神(オオクニタマ)」、「大物主命(オオモノヌシ)」、「大穴持命(オオアナモチ)」、「宇都志国玉神(ウツシクニタマ)」など、とにかく多くの別名があります。
古代出雲の国は神々の集まる場所であり、古代日本の先進地帯でした。
おそらく様々な神様を「古事記」編纂時にオオクニヌシで一本化したと考えられますが、オオクニヌシは高天原を追われた須佐之男命(スサノオ)の子孫とされ、天津神より位の低い国津神であるのに、この出雲の神様は記紀神話では数多くの話が語られています。
この神様の特に面白いと感じるところに絞って、2回に亘り説明していきます。
天津神と国津神の違いについてはこちら↓
大国主命と八十神と白兎
オオクニヌシには大勢の兄がいました。あまりに多いので八十神(ヤソガミ)と呼ばれ、名前も与えられずにまとめられています。
兄達の名、適当すぎる。かわいそ。
出典:http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/
このヤソガミは、因幡の八上比売(ヤガミヒメ)を嫁にしようと因幡に向かう道中、荷物が多いので末弟のオオクニヌシに大きな袋を持たせて荷物を持たせて連れていきます。
兄達の荷物を持っていたオオクニヌシは一行に遅れてしまいます。
山のフドウのイメージ
出典:http://ciatr.jp/topics/186418
一方、先に進んでいたヤソガミ一行は、皮を剥がれた兎(ウサギ)に出会います。
このウサギはもともと淤岐島(オキノシマ)にいましたが、海の向こうの因幡の国に行こうと、海にいた和邇(ワニ)に仲間の数比べを持ち掛け、集まったワニの背中を渡り、もう少しのところで騙したことを口にしてしまいます。そしてブチ切れしたワニに、皮を剥がれてしまったのでした。ちなみに稲羽(因幡)の白兎の「白」は「素」とも書き、色のことではなく丸裸の意味です。
あまりの痛さに泣いているウサギを、ヤソガミは「塩水であらうといいよ」と言い、真に受けたウサギはさらなる痛みに苦しみました。
ひどすぎる・・うん。やっぱ名前いらないわ兄達
さて、遅れてきたオオクニヌシも、このウサギに出会います。
オオクニヌシは「真水で洗い、蒲(ガマ)の穂を敷いたところで寝ると治るよ」と言い、ウサギはたちまち治りました。
この時、ウサギは「ヤガミヒメを娶るのはあなたです。」と予言しました。
大国主命の死と復活
先についた兄達が、ヤガミヒメにフラれているところにオオクニヌシは到着。
ウサギの予言どおり、ヤガミヒメはオオクニヌシと結婚すると宣言します。
兄達ざまぁ
さぁ、これはヤソガミにとってはおもしろくない。
オオクニヌシを亡き者にしようと画策し、焼けた猪のような大岩をオオクニヌシに受け止めさせて殺害することに成功しました。
オオクニヌシの死に、母親の刺国若比売(サシクニワカヒメ)は嘆き、造化三神の一柱、神産巣日神(別称:神皇産霊尊 カミムスヒ)に助けを求め、カミムスヒによって遣わされた貝比売(キサガイヒメ)と蛤貝比売(ウムギヒメ)によって生き返ります。
しかし、復活を知ったヤソガミは裂けた大木の間にオオクニヌシを挟んで、またしても殺害。
兄ヤソガミはやっぱりジャギのイメージ
出典:http://soccerso.doorblog.jp/
またまた母は嘆き、オオクニヌシ再復活。
リセマラ状態。
しつこいヤソガミ共に、さすがに母も考えてオオクニヌシに木の国(紀伊国とか)に行くように指示します。
追いかけてきたヤソガミから逃れるために、ついにオオクニヌシは自分の祖先神スサノオのいる根之堅州国(死者の国、地下の国)に至ります。
つづく