日本神話

日本の神様・神話 【大国主命①】オオクニヌシ・ヤソガミ

投稿日:2016年11月29日 更新日:

日本の神様 日本神話
【大国主命 大己貴命①】

日本神話の中で色々な神様が登場し、現在、最も尊い神として君臨するのは伊勢神宮に祀られる太陽神、皇祖神の天照大御神(アマテラス)ですが、はるか昔の出雲において最も尊いとされていたのは、今回紹介する出雲大社や大神神社で祀られる大国主命(オオクニヌシ)でした。

オオクニヌシは、「大己貴命/大穴牟遅命(オオナムチ)」、「葦原色許男命(アシハラシコオ)」、「大国玉神(オオクニタマ)」、「大物主命(オオモノヌシ)」、「大穴持命(オオアナモチ)」、「宇都志国玉神(ウツシクニタマ)」など、とにかく多くの別名があります。

古代出雲の国は神々の集まる場所であり、古代日本の先進地帯でした。

おそらく様々な神様を「古事記」編纂時にオオクニヌシで一本化したと考えられますが、オオクニヌシは高天原を追われた須佐之男命(スサノオ)の子孫とされ、天津神より位の低い国津神であるのに、この出雲の神様は記紀神話では数多くの話が語られています。

この神様の特に面白いと感じるところに絞って、2回に亘り説明していきます。

天津神と国津神の違いについてはこちら↓

日本の神様・神話 【天津神と国津神】アマテラス・スサノオ
日本の神様 日本神話 【天津神と国津神】 古代日本人は、天の上のはるかかなたに高天原(タカマガハラ)という神々の住む世界を作り、人間が住む世界を葦原中国(アシハ

スポンサーリンク

大国主命と八十神と白兎

オオクニヌシには大勢の兄がいました。あまりに多いので八十神(ヤソガミ)と呼ばれ、名前も与えられずにまとめられています。

兄達の名、適当すぎる。かわいそ。

20120528213900aa3

出典:http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/

このヤソガミは、因幡の八上比売(ヤガミヒメ)を嫁にしようと因幡に向かう道中、荷物が多いので末弟のオオクニヌシに大きな袋を持たせて荷物を持たせて連れていきます。

兄達の荷物を持っていたオオクニヌシは一行に遅れてしまいます。

山のフドウのイメージ

a5112ad26c2b2239bca5b46ad9e18d5b

出典:http://ciatr.jp/topics/186418

 

一方、先に進んでいたヤソガミ一行は、皮を剥がれた兎(ウサギ)に出会います。

このウサギはもともと淤岐島(オキノシマ)にいましたが、海の向こうの因幡の国に行こうと、海にいた和邇(ワニ)に仲間の数比べを持ち掛け、集まったワニの背中を渡り、もう少しのところで騙したことを口にしてしまいます。そしてブチ切れしたワニに、皮を剥がれてしまったのでした。ちなみに稲羽(因幡)の白兎の「白」は「素」とも書き、色のことではなく丸裸の意味です。

あまりの痛さに泣いているウサギを、ヤソガミは「塩水であらうといいよ」と言い、真に受けたウサギはさらなる痛みに苦しみました。

ひどすぎる・・うん。やっぱ名前いらないわ兄達

さて、遅れてきたオオクニヌシも、このウサギに出会います。

オオクニヌシは「真水で洗い、蒲(ガマ)の穂を敷いたところで寝ると治るよ」と言い、ウサギはたちまち治りました。

この時、ウサギは「ヤガミヒメを娶るのはあなたです。」と予言しました。

スポンサーリンク

大国主命の死と復活

先についた兄達が、ヤガミヒメにフラれているところにオオクニヌシは到着。

ウサギの予言どおり、ヤガミヒメオオクニヌシと結婚すると宣言します。

兄達ざまぁ

さぁ、これはヤソガミにとってはおもしろくない。

オオクニヌシを亡き者にしようと画策し、焼けた猪のような大岩をオオクニヌシに受け止めさせて殺害することに成功しました。

オオクニヌシの死に、母親の刺国若比売(サシクニワカヒメ)は嘆き、造化三神の一柱、神産巣日神(別称:神皇産霊尊 カミムスヒ)に助けを求め、カミムスヒによって遣わされた貝比売(キサガイヒメ)蛤貝比売(ウムギヒメ)によって生き返ります。

しかし、復活を知ったヤソガミは裂けた大木の間にオオクニヌシを挟んで、またしても殺害。

兄ヤソガミはやっぱりジャギのイメージ

y%e3%81%8e

出典:http://soccerso.doorblog.jp/

またまた母は嘆き、オオクニヌシ再復活。

リセマラ状態。

しつこいヤソガミ共に、さすがに母も考えてオオクニヌシに木の国(紀伊国とか)に行くように指示します。

追いかけてきたヤソガミから逃れるために、ついにオオクニヌシは自分の祖先神スサノオのいる根之堅州国(死者の国、地下の国)に至ります。

つづく

スポンサーリンク

日本の神様・神話 【天津神と国津神】アマテラス・スサノオ
日本の神様 日本神話 【天津神と国津神】 古代日本人は、天の上のはるかかなたに高天原(タカマガハラ)という神々の住む世界を作り、人間が住む世界を葦原中国(アシハ

日本の神様・神話 【国産み神産み】イザナギ・イザナミ
日本の神様 日本神話 【国産み 神産み】 記紀神話では、伊邪那岐命(イザナギ)、伊邪那美命(イザナミ)は「国産み」、「神産み」の神様として描かれてます。

日本の神様・神話 【伊邪那美の死】イザナギ・イザナミ
日本の神様 日本神話 【伊邪那美の汚物から生まれた神】 記紀神話では、伊邪那岐命(イザナギ)、伊邪那美命(イザナミ)は実にたくさんの神様を産んでいます。

日本の神様・神話 【岩戸隠れ】アマテラス・スサノオ
日本の神様 日本神話 【岩戸隠れ(天岩屋戸・天岩戸)】 記紀神話では、伊勢神宮の内宮に祀られる太陽神の天照大御神(アマテラス)は高天原の総支配神であり、皇室の祖

日本の神様・神話 【須佐之男命①】スサノオ・アマテラス
日本の神様 日本神話 【須佐之男命(素戔嗚尊)①】 日本神話の中で、色々な神様が登場しますが人気ランキングでいけば、須佐之男命(別称:素戔嗚尊 スサノオ)は、間

日本の神様・神話 【須佐之男命②】スサノオ・クシナダヒメ
日本の神様 日本神話 【須佐之男命(素戔嗚尊)②】 今回で2回目となる須佐之男命(別称:素戔嗚尊 スサノオ)の話ですが、前回までのスサノオの話をザックリおさらい

日本の神様・神話 【須佐之男命③】スサノオ・クシナダヒメ
日本の神様 日本神話 【須佐之男命(素戔嗚尊)③】 今回で3回目となる須佐之男命(別称:素戔嗚尊 スサノオ)の話ですが、これまでのスサノオの話をザックリおさらい

日本の神様・神話 【大国主命①】オオクニヌシ・ヤソガミ
日本の神様 日本神話 【大国主命 大己貴命①】 日本神話の中で色々な神様が登場し、現在、最も尊い神として君臨するのは伊勢神宮に祀られる太陽神、皇祖神の天照大御神

日本の神様・神話 【大国主命②】オオクニヌシ・スクナビコ
日本の神様 日本神話 【大国主命 大己貴命②】 さて、2回に亘り紹介している大国主命(オオクニヌシ)ですが、前回までは、兄神たち八十神(ヤソガミ)に何回も殺され

日本の神様・神話 【国譲り①】アマテラス・オオクニヌシ
日本の神様 日本神話 【国譲り①】 葦原中国(地上世界)を大国主命(オオクニヌシ)が治めるようになり、大いに発展することになったこの国は、このまま平和なまま時代

日本の神様・神話 【国譲り②】タケノミカヅチノオ
日本の神様 日本神話 【国譲り②】 大国主命(オオクニヌシ)が治めるようになり、葦原中国(地上世界)は大いに発展していきますが、高天原(天上の世界)の天照大御神

日本の神様・神話 【大国主命①】オオクニヌシ・ヤソガミ
日本の神様 日本神話 【大国主命 大己貴命①】 日本神話の中で色々な神様が登場し、現在、最も尊い神として君臨するのは伊勢神宮に祀られる太陽神、皇祖神の天照大御神

日本の神様・神話 【天孫の結婚】ニニギ・コノハナサクヤビメ
日本の神様 日本神話 【天津日高日子番能邇邇芸命の結婚】 日本神話の中で様々な神様が登場し、活躍する舞台も変わってきましたが、ここからは現在の我々が住む地上世界

日本の神様・神話 【海幸彦と山幸彦】ホオリ・オオワタツミ
日本の神様 日本神話 【海幸彦と山幸彦】 日本神話の中で様々な神様が登場し、「天孫降臨」によって舞台が我々が住む地上世界移り変わっていきます。 天照大御神

日本の神様・神話 【豊玉毘売の出産】トヨタマビメ
日本の神様 日本神話 【豊玉毘売の出産】 日本神話の中で様々な神様が登場し、高天原の神々の話から地上世界に舞台は移り変わり、天孫である天津日高日子番能邇邇芸命(

日本の神様・神話 【神武東征①】イツセ・イワレビコ
日本の神様 日本神話 【神武東征①】 日本神話の中で様々な神様が登場してきましたが、「天孫降臨」によって物語も神代から人代に変わり、今回の主役は神武天皇になります。

日本の神様・神話 【神武東征②】イワレビコ・ニギハヤヒ
 日本の神様 日本神話 【神武東征②】 日本神話の中で様々な神様が登場してきましたが、「天孫降臨」によって物語も神代から人代に変わり、前回に続いて主役は神武天皇

日本の神様・神話 【2代綏靖天皇】カムヌナカワミミ・タギシミミ
日本の神様 日本神話 【2代天皇 綏靖天皇】 日本神話では、様々な神々が登場してきましたが、神武東征によって大和に政権が誕生し、歴代天皇とその周りの人物が物語の

日本の神様・神話 【欠史八代】綏靖天皇~開化天皇
日本の神様 日本神話 【欠史八代】 日本神話では、様々な神々が登場してきましたが、初代神武天皇神武、2代綏靖天皇の即位以降、日本の神様・神話としての要素は圧倒的

-日本神話

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

日本の神様・神話 【天津神と国津神】アマテラス・スサノオ

日本の神様 日本神話 【天津神と国津神】 古代日本人は、天の上のはるかかなたに高天原(タカマガハラ)という神々の住む世界を作り、人間が住む世界を葦原中国(アシハラノナカツクニ)、そして地下世界を根之堅 …

日本の神様・神話 【欠史八代】綏靖天皇~開化天皇

日本の神様 日本神話 【欠史八代】 日本神話では、様々な神々が登場してきましたが、初代神武天皇神武、2代綏靖天皇の即位以降、日本の神様・神話としての要素は圧倒的に減少します。天皇を中心とした人の世の話 …

おんべ鯛|伊勢神宮と篠島(愛知県)の関係と干鯛(御幣鯛)について

おんべ鯛とは? 伊勢神宮と篠島(愛知県)の関係と干鯛について なぜ、伊勢の神宮が三重県の島ではなく、愛知県の島と関わり合いがあるのか? この記事では古来より、伊勢の神宮と関わりが深い愛知県の離島・篠島 …

日本一の神様③ 日本神話 八百万の神々の中で一番の神様を紹介

日本一の神様 日本神話 「敗者」 今回、日本一として紹介するのは日本一の「敗者」の神様です。 当然、異論はあるかと思いますし、気を悪くする方もいるとは思いますが、これまでどおり神様のような広い心でお許 …

日本の神様・神話 【大国主命②】オオクニヌシ・スクナビコ

日本の神様 日本神話 【大国主命 大己貴命②】 さて、2回に亘り紹介している大国主命(オオクニヌシ)ですが、前回までは、兄神たち八十神(ヤソガミ)に何回も殺されては、復活し祖先神である須佐之男命(スサ …