大河ドラマ西郷どん(せごどん)
龍佐民(りゅうさみん)
石千代金(いしちよかね)
大河ドラマ西郷どん(せごどん)の第18話「流人 菊池源吾」から奄美大島編がスタートし、物語の重要人物となっていくのが柄本明さんが演じる龍佐民(りゅうさみん)と木内みどりさんが演じる石千代金(いしちよかね)。
龍佐民(りゅうさみん)は、のちに西郷吉之助(奄美大島編では菊池源吾と名を変えている)の2番目の妻となる「とぅま(愛加那)」の伯父にあたり、妻の石千代金(いしちよかね)とともに西郷夫婦の生活を支えていくことになります。
今回は、西郷どん(せごどん)奄美大島編のキーパーソン、龍佐民(りゅうさみん)と石千代金(いしちよかね)について簡単に紹介していきます。
龍佐民(りゅうさみん)
柄本明が演じる龍佐民は「とぅま(愛加那)」の伯父。
中国風な名前のように感じますが「龍」という姓は住んでいた龍郷という場所にちなんでいます。
もともとは琉球からやってきた奄美大島の実質的支配者・笠利(かさり)氏が、田畑の性を与えられ、その後、薩摩藩(島津重豪の時代)の指示で家に関係する地名から一文字を選び名乗ったものでした。
このため龍家は奄美大島屈指の名門として島内に君臨し、年貢を払えず使役についた「家人(やんちゅ)」たちを抱えて、薩摩藩の財政を支えたサトウキビ栽培、黒糖生産を引き受けるなど、薩摩の役人たちからも一目置かれる存在でした。
龍家の当主・龍佐文がまだ年少だったため、龍家の代表として島内を取り仕切っていた龍佐文は、幕府から身を隠すためにやってきた菊池源吾(西郷吉之助)の世話人を命じられることになります。
名家とはいえ、薩摩藩の苛烈な搾取に屈してきた龍佐民にとっては、いささか迷惑な話。
しかも、奄美大島にやってきた当初の菊池源吾は、夜中に大声を出すなど奇妙な行動を起こして龍佐民も手を焼きます。
そんな中、龍佐民は分家で姪にあたる「とぅま(愛加那)」に菊池源吾の世話を任せました。
菊池源吾は島民を下げずんだ目で見ており、『自分たちは日本のため、民の働いてきた。お前に何が分かる』と薩摩藩の年貢の取り立てを擁護していましたが、「とぅま(愛加那)」の『私達、奄美の人間は民のうちにも入らないのか!』の言葉に猛烈に反省。
そして菊池源吾は心を入れ替え、奄美大島の島人の立場に立って薩摩藩の役人たちと渡り合っていきます。
そんな姿に龍佐民は魅了され、菊池源吾と「とぅま(愛加那)」の最大の理解者となって、二人の婚姻を薦め、結婚式では媒酌人まで務めました。
のちに薩摩藩より帰還命令が下り、島から離れること未練を感じていた菊池源吾に、龍佐民は「あなたはここにいるべきではない。日本のためにやるべきことがある」と背中を押します。
龍佐民は、島のために尽くしてくれた菊池源吾の器の大きさに感じ入り、この男なら本当に日本を変えるのではないかと予感していたのかもしれません。
石千代金(いしちよかね)
木内みどりが演じるのは龍佐民の妻である石千代金。
名前はちょっとヘンテコなように思えますが、奄美大島では「金」が本土に言えば「子」にあたるので、石千代子ということになるのかな?
この石千代は、はじめ牧仁貞志に嫁いでいたといいます。
しかし、安政2年(1855)に夫・仁貞志が自害したため実家に戻り、2年後に従兄弟であった龍佐民に嫁ぎました。
西郷が奄美大島にやってきたのは安政6年(1859)のことなので、龍佐民と夫婦になったのはかなり最近ってことになります。
石千代金は薩摩藩から島人たちを守ろうする夫を支える中で、島人の立場に立つことができる奇妙な薩摩藩士・菊池源吾の人柄に魅了されていきました。
その後、夫と共に「とぅま(愛加那)」の婚礼の媒酌人を務め、二人の結婚生活を応援した石千代金は、西郷吉之助の奄美の母のような存在だったのかもしれません。