日本の神様 日本神話
【欠史八代】
日本神話では、様々な神々が登場してきましたが、初代神武天皇神武、2代綏靖天皇の即位以降、日本の神様・神話としての要素は圧倒的に減少します。天皇を中心とした人の世の話になるわけですが、ちょいちょい神様の話は挟んできますし、菅原道真のように人も死んで神様として祀られたりしていますので、題名はこのまま日本の神様・神話で継続したいと思います。
業績のない天皇たち
2代~9代までの天皇の実績は特に記述されてらず、以下のとおりです。
2代天皇 綏靖天皇(スイゼイ)
宮名:葛城の高岡宮
享年:古事記45歳、日本書紀84歳
叔母の五十鈴依媛(イスズヨリヒメ)と結婚し、磯城津彦玉手看天皇(シキツヒコタマテミノスメラミコト)をもうける。
3代天皇 安寧天皇(アンネイ)
宮名:片塩の浮孔宮
享年:古事記49歳、日本書紀57歳
4代天皇 懿徳天皇(イトク)
宮名:軽の曲峡宮
享年:古事記45歳、日本書紀77歳
天豊津媛命(トヨツヒメ)を皇后として、二子をもうける。
5代天皇 孝昭天皇(コウショウ)
宮名:掖上の池心宮
享年:古事記93歳、日本書紀113歳
世襲足媛(ヨソタラシヒメ)を皇后とする。
6代天皇 孝安天皇(コウアン)
宮名:室の秋津嶋宮
享年:古事記123歳、日本書紀137歳
姪っ子の押媛(オシヒメ)を皇后とする。
7代天皇 孝霊天皇(コウレイ)
宮名:黒田の廬戸宮
享年:古事記106歳、日本書紀128歳
8代天皇 孝元天皇(コウゲン)
宮名:軽の境原宮
享年:古事記57歳、日本書紀116歳
9代天皇 開化天皇(カイカ)
宮名:春日の率川宮
享年:古事記63歳、日本書紀111歳
5人の子供をもうけた。
おわりに
記紀神話では、2代天皇~9代天皇まで簡単な記録しか残されておらず、この天皇たちは挿入された架空の存在であると言われています。
これは各種の発掘調査の結果も裏付けられており、実在が確かだとされる10代崇神天皇が初代天皇であると考えらています。
う~ん。じゃあこれまでの話はなんだったのか。神武東征も大国主命も天照大御神もウソの話なのか?
いいえ。違います。神話です。ちゃんと割り切りましょう。
とはいえ、欠史八代はヤマト王権の歴史を古く見せ、より権威づけるため元の神話に意図的に付け加えられたものであると考えられます。
また、この八代の天皇は、吉備氏、蘇我氏、平群氏、息長氏、許勢氏など膨大な数の有力氏族の系譜に連なっています。
彼ら各氏族にとっても、王家との関わりは政権内での重要な権威の象徴でもあったのでしょう。
日本誕生~神武東征まで、あれだけ話ができるのに、なぜこの8人に話を作ってあげられなかったのか。
なんか、これまでの神話がこの欠史八代の成り立ちによって、一気に現実に引き戻される感じがします。
「神様も神話も天照大御神も大国主命も、全部人間が後から都合良く作っただけやん!」
というバチアタリな感情を抑えつつ、
「まぁ おもしろければいいっか」
と、私は伊勢神宮に初詣に出かけます。
外宮 photo:葦尊彦