大河ドラマ西郷どん(せごどん)
富堅(とみけん)
大河ドラマ西郷どん(せごどん)の第18話「流人 菊池源吾」から奄美大島編がスタートし、物語の最重要人物である「とぅま(愛加那)」の兄として登場するのが高橋努さんが演じる富堅(とみけん)。
少し、ぶっきらぼうなところがありますが、妹思いの優しい兄であり、西郷吉之助(奄美大島では菊池源吾と名を変えている)と「とぅま(愛加那)」が接近し、親密になっていくことをとても心配しています。
今回は、西郷どん(せごどん)奄美大島編で西郷とバチバチやりあうことになる富堅(とみけん)について簡単に紹介していきます。
富堅(とみけん)
高橋努が演じる富堅(とみけん)は「とぅま(愛加那)」の兄。姓は「龍」
富堅は龍佐栄志(佐恵志)と枝加那の子として天保3年(1832)に生まれ、のちに乙千代金と結婚し、生まれた子を愛加那の養子とした。
富堅は奄美大島の名家「龍家」の一族ですが、父の龍佐栄志は分家の庶子であったために、財産も分けてもらえず「龍」の姓を名乗ることが許されていません。
本家はサトウキビ栽培、黒糖製造を行う豪農でしたが、富堅は母の枝加那と、妹の「とぅま(愛加那)」を養うためにわずかな田畑を耕し、たまに本家の仕事を手伝って賃金をもらうという貧しい暮らしをしていました。
家格だけは高いわりに貧しい暮らしをしていたことから、妹・「とぅま(愛加那)」は村の若者たちから敬遠されて嫁ぎ遅れていました。
実際の富堅はどんな人物であったかは、全くわかっていません。
そのため、今回の大河ドラマ西郷どん(せごどん)で登場する富堅と、原作である林真理子著「西郷どん」での富堅の人物像は大きく異なり、脚本家にとって自由度が出せるキャラクターとなっているのでしょう。
大河ドラマ西郷どんでの富堅は妹思いの優しい兄であり、妹のためにと常に気を配っています。 しかし薩摩藩に対して強い嫌悪を抱いていることから、菊池源吾(西郷吉之助)に対して警戒心を抱いており、菊池源吾と妹との結婚に猛反対します。菊池源吾に対して心を許さず、二人の確執がこの奄美大島編での一つの見どころとなるでしょう。
一方、原作での富堅は、奄美大島に来たばかりで奇行を繰り返す菊池源吾に眉をひそめていることはありましたが、島津斉彬に気に入られて江戸を行き来していた男がこんな南の島に追いやられたら無理もないと一定の理解を示し、同情しています。
また、妹「とぅま(愛加那)」に対しても、本家と共に菊池源吾の島妻(アンゴ)にしてしまおうと、半ば無理矢理に菊池源吾のところへ世話を焼きに行くよう命じています。
菊池源吾が高熱を出した時は一族総出で看病し、妹との結婚にも反対はしません。
さらに、二人の間にできた男子に「菊太郎」と名付けようとしたところ、富堅は「畏れ多い。あなたは薩摩に戻ったら結婚し正式な子供が生まれるでしょう。そのときに『太郎』とつけるべきです」と言い、名前を「菊次郎」に決めさせて妹を泣かせます。
大河ドラマと原作では、まるで別人のような富堅ですが、やはりドラマとして盛り上げるなら主人公と派手にやり合った方が面白い。
富堅は、奄美大島編での活躍次第で人気のあるキャラクターに化ける可能性があるでしょう。
大いに期待しましょう。