平成28年度第2次補正予算 小規模事業者持続化補助金
実際に採択されやすい小規模事業者持続化補助金の書き方について、前回までは経営計画書(様式2)の2.顧客ニーズと市場の動向についての書き方を説明しましたが、今回は3.自社や自社の提供する商品・サービスの強みについて説明していきたいと思います。
小規模事業者持続化補助金 経営計画書(様式2)3.自社や自社の提供する商品・サービスの強みについて
この強みについては、自社の強み(他社との違い)を普段から意識している人にはボーナスステージみたいなものです。
しかし、これまでの「顧客のニーズ」や「市場動向」を分析してきた結果、これから自社としてやらなければならないことを、この「強み」を十分に発揮して実行していくために今回補助金を使ってやらなければならないと印象づけることが一番重要です。
自社の強みがわからない方やちゃんと整理したい方は以下の質問にできる限り答えてみてください。答えた後に整理すれば、きっと書けるようになります。
【あなたの店の商品・サービスについて質問です。(品質、値段、味、品揃え、デザインなど)】
①誇れること、自慢できることはなんですか?他社との違いは何ですか?(強みと独自性)
②なぜ誇れるようになりましたか?どんな工夫をしていますか?(強みになった原因)
③他社との違うところを出せるようになった理由は何ですか?(独自性の原因)
④今後はどのように活用、対応していきますか?(強みの活用)
【あなたの店のひと(自分、家族従業員、従業員)・店の歴史について質問です。】
①誇れること、自慢できることはなんですか?他社との違いは何ですか?(強みと独自性)
②なぜ誇れるようになりましたか?どんな工夫をしていますか?(強みになった原因)
③他社との違うところを出せるようになった理由は何ですか?(独自性の原因)
④今後はどのように活用、対応していきますか?(強みの活用)
【あなたの店と取引先や顧客との関係性について質問です。】
①誇れること、自慢できることはなんですか?他社との違いは何ですか?(強みと独自性)
②なぜ誇れるようになりましたか?どんな工夫をしていますか?(強みになった原因)
③他社との違うところを出せるようになった理由は何ですか?(独自性の原因)
④今後はどのように活用、対応していきますか?(強みの活用)
①に書いた自分の文章に、「なぜ?」や「どのような?」と問いかけて、出てきた答えに更に、「なぜ?」、「どのような?」と問いかけ続けていき、最終的に反対から文章に繋ぎ直せば完成となります。
小規模事業者持続化補助金 経営計画書(様式2)3.自社や自社の提供する商品・サービスの強みの例①
色々な強みを箇条書き風に書き込み、一つの結論に持っていく書き方の例
【材料1】
当店は他社では高額で販売している婦人服を1割程度安く販売できる。
なぜ?どのような?
安く仕入れることができるから。50歳以上の女性が好む婦人服
なぜ?
仕入先と信頼関係があるから。
なぜ?
これまで30年間取引しているから。
どのような?
先代の創業時から共に飲みに行くような
↓
当社は仕入先のA社とは、先代の創業以来30年間の取引を通じて親密な関係が築けており、通常価格より1割程度安く仕入れることができるため、他社では高額で販売している同商品を安く販売できる。
【材料2】
後継者がいる。
どのような?
パソコンと英語が得意な。
なぜ?
東京でシステム開発会社に努めていたから。ヨーロッパ支店にいたから。
どのような?
大手洋服メーカーのシステムを手がけているような
↓
東京に本社を持つ大手洋服メーカーのシステムを手がけているシステム開発会社で、ヨーロッパの支店にも2年勤務し英語も堪能な長男は、地元で自分の技術や語学を地域に活かそうと1年前に帰郷しており、今後家業である服飾品販売業を継ぐ意思を持っている。
上記の2つの文章をが、顧客ニーズ(例:顧客から通販の要望がある)、市場動向(例:ネット社会の高齢化)によって、高齢者に向けた洋服のインターネット販売開始のため、補助金を使ってHP上のショッピングカート作成へと繋げていく。
この2つの文章のあとに、取材記事や新聞記事、写真などを掲載すると効果的です。
小規模事業者持続化補助金 経営計画書(様式2)3.自社や自社の提供する商品・サービスの強みの例②
少ない強みを協力者の強みを利用しながらとことん掘り下げる物語風の例
卸売業でもここまでいけます。私がこれに似た形で事業者の代わりに書いた計画書は、書き終わった時点で「こりゃ通るな」と思いましたし、実際採択を頂いています。
【お客様の声を聞いて開発】
当社が販売するドレッシングは、○○○○(観光地名)のお膝元に位置する○○(住所)で、開店15年目を迎える「フレンチ ○○○(店名)」の完全手作り、自家製商品です。「フレンチ ○○○(店名)」のオーナーシェフが修行時代から試行錯誤を繰り返し10年かけて“フレンチ ○○○製ドレッシング○○○(商品名)”を開発し、最初はお店の料理の添付品として提供していた物を、お客様の「少し分けて頂けませんか?」との声と、口コミで少しづつ広がり、要望が増加した為に商品化したもので、オーナーシェフのいつかこの商品を全国へ広めたいとの熱意に賛同し、この商品の販路開拓、拡大の為、営業・販売を当社が行うこととなりました。当社では、お客様の生の声を十分に反映させた商品を、ドレッシング製造の熟練の技術を持つ「フレンチ ○○○」と一緒に開発が可能です。
【生産者の声を聞いて開発】
私は12年間の飲食店勤務の中で、生産者、卸売業者等の様々な方との出会いを通じて、人脈が広がり、独立開業に至りました。当初は○○県産の○○(材料)を使う“○○○製ドレッシング○○○(商品名)”のみの販売でしたが、当社としての立上げ以降、△△県産(地元の県名)・地物の商品も開発しようと、半年間、地物の○○(材料)を探し続け、○○町で廃棄処分される○○(材料)がある情報を知り、農家さんと「フレンチ ○○○(店名)」を引き合わせて、お話を進めた結果、農家さんとしては廃棄処分される○○時期の○○(材料)が商品になるのはとても夢と希望ある話である、協働しましょうとのお話になりました。
農家さんには、○○(材料)を集めて頂き、○○(半製品)にまでして頂く作業をして頂き、○○(半製品)を販売して頂けるようお願いしました。当社ではその○○(半製品)を仕入れて、「フレンチ ○○○(店名)」に製造委託しています。当社の話が無ければ、今まだ○○(材料)は廃棄処分のままでした。
ここに農家と開発した新聞記事を掲載。
通常、市販されている○○ドレッシングは、複数の○○(材料)を混合して作られています。しかし、当社が販売する○○ドレッシングは、農家さんの思いを尊重し他の○○(材料)を混ぜないが特徴です。
そしてその○○(半製品)で試行錯誤を繰り返し、“フレンチ ○○○自家製ドレッシング ○○(新商品名)”を商品化しました。天然○○(材料)を豊富に使用し、○○(材料)については、強力なアレルギー抑制作用があるとされる研究発表がされており、幅広い年齢層に受け入れられる商品です。
ここに材料の説明(効能、仕入可能量)を記載。
本来なら農家さんは50kg~63kg廃棄処分されていました。この数字は当店仕入のみの数値ですので、相当量廃棄処分されていたと思われます。農家さんとの協働によりこれだけの○○(材料)が廃棄されなくなり、地域資源の有効活用になった。
ここに材料の写真 半製品の写真 製品の3つの写真を掲載。
また、当社が扱うドレッシングの中には□□県の△△生産者から、△△(材料)を使用した商品を販売してほしいとの声に応えた△△ドレッシングも商品化し販売している。
ここに△△(材料)の説明の記載と写真を掲載
△△(材料)は県産が無い為、□□産ですが、「□□(県名)の△△(材料)が○○県でドレッシングとなり販売されているのは□□人(県名)として嬉しく思います」とのお声を聞かせて頂きました。
以上、生産者の声を直接聞くことができ、人脈や地域を使った企画力、さらに「フレンチ ○○○(店名)」での商品製造協力と、同店での来店客の評価を直接受けることができることが、当社の強みです。
もはや、この事業者の場合、補助金を使ってやることは何でもいける気がします。
例えば、卸売業から小売業に変るためにHP、パンフレット作成や、卸売業から製造小売に変るために、新商品開発のための機械装置購入、業種転換せずに新商品開発のための食材探しの旅費、専門家謝金など。もちろんこれらを納得させるために顧客ニーズや市場動向で導いて書いてあることが前提にはなりますが。
自社には強みがないと思っている方に
私は強みと弱みは表裏一体のものであり、プラス思考で弱みをある程度は強みに変えることが可能だと考えています。
ただし、まずいとか品質、愛想が悪いとかは商売をする上で根本的におかしいので、さすがに強みに変えられませんが、自社をそんな風にしか言えないなら商売やめた方がいいですよね(笑)
【弱みを強みとして書く例】
例1:品揃えが少ない → 厳選した品物だけを販売している。
例2:従業員がいない → 小回りがきく、何でも言い合える家族のチームワークがある。
例3:経験が浅い → これからの研修や教育で伸びしろがある。
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