大河ドラマ西郷どん(せごどん)
ジョン・マンが犯した罪
海外渡航の禁とは
大河ドラマ西郷どん(せごどん)の第6話で、アメリカからやってきた劇団ひとりが演じるジョン・マンという謎の男。
ジョン・マンは、土佐出身の漁師で、ある日遭難してアメリカの捕鯨船に助けられ、その後アメリカで教育を受けて帰って来た日本人です。
本名は「万次郎」で、人からは通称「ジョン・万次郎」と呼ばれ、のちに幕府に仕えて出身地の「中浜」を名字に与えられ、「中浜万次郎」と名乗っています。
大河ドラマで登場した時、ジョン・マンは牢の中に入れられており、罪人として扱われています。
この頃、日本は鎖国をしていたことは誰でも知っていますが、外国人ならまだしも正真正銘の日本人であったジョン・マンこと万次郎は、なぜそこまで厳しい取り調べを受けなければならなかったのでしょうか。
今回は、ジョン・マンこと万次郎が犯した罪「海外渡航の禁」について簡単に紹介します。
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海外渡航の禁
海外渡航の禁は、江戸時代初期の鎖国政策の法令の一部である。
江戸幕府は慶長17年 (1612年) にキリスト教禁制や、貿易港制限策に続いて、寛永10年(1633年)には 朱印状を受けて外国との貿易に従事した「朱印船」以外の海外渡航や海外在住5年以上の者の帰国を禁じました。
当時、鎖国の中にあっても、この朱印船貿易によって日本人は東南アジア各地に日本人居留民の町「南洋日本人町」を形成していました。
この南洋日本人町に住む日本人が、現地でキリスト教に感化され帰国することを恐れ、幕府は海外在住5年以上の者の帰国を禁じたのです。
その2年後に幕府は、さらに法令を厳しくし、全ての日本人の海外渡航と海外在住日本人の帰国を禁止、密帰国者は死刑に処するなど罰則を強化しました。
これによって日本人の海外進出は全面的に禁止され、外国人が日本に来ることだけでなく「南洋日本人町 」に住む日本人が帰ってくる道を完全に閉ざしたのです。
以後、ポルトガル船来航禁止、平戸オランダ商館の出島移転によって鎖国政策が完成され、ペリーの来航による日米和親条約締結にいたるまで、日本は鎖国状態が続きました。
万次郎は遭難事故で、たまたま海外に渡ってしまったわけですが、幕府は万次郎が外国人ではないかと疑っていたわけではなく、「海外渡航の禁」を犯した密航、密帰国者ではないか、かつての「南洋日本人町」からの渡航者ではないかと疑い、厳しい取り調べを行ったのです。