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大河ドラマ西郷どん【日米修好通商条約と井伊直弼】大老・井伊直弼が最後まで抵抗した勅許なしでの不平等条約の調印とは

投稿日:2018年2月10日 更新日:

大河度ドラマ西郷どん(せごどん)
日米修好通商条約

大河ドラマ西郷どん(せごどん)の第15話で、大老に就任した佐野史郎が演じる井伊直弼は、朝廷の勅許が得られないままアメリカとの通商条約に調印すると宣言します。

これに、将軍・家定の後継者問題で対立していた徳川斉昭や松平慶永らは異議を唱えますが、井伊直弼は権力をかさに着て一蹴し、そのまま「日米修好通商条約」を締結してしまいました。

 

今回の大河ドラマのように井伊直弼は「日米修好通商条約」締結に関して強引に進めたように描かれることが多いのですが、実は史実の井伊直弼は勅許なしでの条約調印に最後の最後まで抵抗しています。

安政の大獄などで強引なやり方をしたせいか、いつしか史実を超える「悪役」のレッテルを張られてしまった井伊直弼。

この記事では「日米修好通商条約」と、井伊直弼の苦悩について簡単に紹介します。

 

 

 

勅許は必要です!

出典:https://www.instagram.com/

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「日米修好通商条約」締結前

 

安政元年(1854年)に締結された日米和親条約により、日本初の総領事として下田に赴任したハリスは、幕府に自由貿易を認めさせようと通商条約の締結を考えていました。

安政4年(1857年)、ハリスは江戸城に登り、将軍・徳川家定に謁見して強硬な姿勢を見せます。

ハリスの主張により、幕府内ではアメリカとの自由貿易はやむ無しという雰囲気が流れ始め、老中首座・堀田正睦は下田奉行・井上清直と目付・岩瀬忠震を全権として条約の交渉を開始させました。

この交渉は15回に及び、内容に関して双方の合意が得られると、堀田正睦は孝明天皇の勅許を得た上で通商条約を締結しようとします。

しかし、堀田正睦は自ら京に向かい条約勅許を願い出たにも関わらず孝明天皇は拒絶。

ハリスは勅許獲得に失敗した幕府に対して「日本はイギリスやフランスに侵略される可能性があり、一刻も早いアメリカとの通商条約を結ぶべき」と煽りました。

事態が混沌とする中、堀田正睦は越前福井藩主・松平春嶽の大老就任を希望し、状況の打破を図ろうとしましたが、大老には井伊直弼が就任しました。

 

 

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「日米通商修好条約」締結

大老になった井伊直弼は、条約締結には勅許を優先させることを主張します。

しかし、開国派の老中・松平忠固は、すぐに条約締結しなれば時機を逸すると反論。

これに幕府内の官僚たちは、松平忠固側に傾いていきました。

 

安政5年(1858年)、条約締結当日の閣議でも井伊直弼は諦めず「勅許を得るまで調印を延期するよう努力せよ」と指示します。

すると交渉担当であった井上清直は「やむを得ない場合は調印してもよいか」と質問。

井伊直弼は「その際は仕方ないが、なるべく尽力せよ」と答えました。

こののち、井上清直・岩瀬忠震はUSS ポーハタン号に赴きますが、二人は井伊直弼の言葉を無視して、艦上でアッサリ条約調印してしまいました。

 

 

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「日米通商修好条約」締結後

条約締結後、井伊直弼は調印に関係した老中・堀田正睦、松平忠固を罷免し、その後、井上清直、岩瀬忠震も左遷します。

しかし、この勅許なしでの条約締結への批判は、大老である井伊直弼に集まり、将軍継嗣問題も重なって大きな派閥抗争に発展していきました。

その後、井伊直弼と対立する水戸藩が朝廷から「幕政改革を要求」する戊午の密勅を得ると、キレた井伊直弼は反対派の幕臣や公家、志士に大弾圧を加えます(安政の大獄)。

このため政局は不穏となり、水戸藩の過激派が暴走して桜田門外の変が発生、井伊直弼は暗殺されて幕府の威信は低下しました。

井伊直弼暗殺後も朝廷は通商条約を認めず、尊王攘夷運動では条約の廃棄が幕府に要求され、幕府も開港の延期や再鎖港を求める外交交渉を行います。

しかし、アメリカ・イギリス・フランス・オランダの四カ国艦隊が兵庫沖に侵入して条約勅許を強要すると、慶応元年(1865年)に朝廷はこれを勅許。

この時、朝廷は京に近い兵庫港については留保としましたが、第15代将軍・徳川慶喜の圧力でのちに勅許され、日本は完全に開国となりました。

 

 

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「日米通商修好条約」内容

日本はペリーが来航して結んだ「日米和親条約」で、下田、箱館(函館)を開港したものの、アメリカ人の居留を認めるのみで貿易については認めていません。

しかし「日米修好通商条約」では、下田、箱館に加えて、横浜、長崎、新潟、神戸を開港し、自由貿易を行うことが定められています。

また、江戸と大阪の2つの港も、居留はできないものの取引のため立ち寄ることができるようになり、貿易については、幕府の希望により「米や麦の輸出はなし」、「軍事用の物資は幕府だけに販売する」とされました。

 

ここまでの内容では「不平等条約」とは言えない中身ですが、問題となったのは次の2点の内容でした。

①日本国内で外国人が罪を犯した時に、日本の法律ではなく、その外国人の出身国の領事が自国の法律で裁く。

②他国の商品を日本が輸入して売る際、その商品にかける関税額を日本で決めない。

 

①では、判決で日本人被害者が泣き寝入りすることが多くなり、②では、欧米の安い製品がそのままの値段で売買されたため、国内産業が衰退する恐れがありました。

幕府は同様の条約をイギリス・フランス・オランダ・ロシアとも結びましたが、この「日米修好通商条約」は日本と各国との間に揉め事が発生した際にはアメリカが仲介をするという文言が入っていました。

 

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