大河ドラマ西郷どん(せごどん)
川口雪篷(せっぽう)
大河ドラマ西郷どん(せごどん)の第24話で徳之島から沖永良部島に流されてしまう西郷吉之助(隆盛)が、牢で出会うのが石橋蓮司さんが演じる川口雪篷(かわぐちせっぽう)。
なかなかクセのあるキャラクターで、友を信じて薩摩に帰る日を待つ吉之助に対して、厭らしい言葉を浴びせ続けます。
しかし、そんな川口雪篷(かわぐちせっぽう)も、やがて吉之助の人柄に惹かれて仲間となり、最終的には西南戦争以後も西郷家に尽くすことになります。
今回は、沖永良部島で出会う西郷隆盛の友であり師の川口雪篷(かわぐちせっぽう)について簡単に紹介します。
川口雪篷(かわぐちせっぽう)
川口雪篷は薩摩藩士・川口仲左衛門の四男として文政元年(1818)に種子島で生まれました。
川口家は代々江戸居付馬廻役として江戸藩邸に詰めていたため、川口雪篷は江戸で幼少期を過ごして漢詩や書を学んでいました。
しかし、父・仲佐衛門の不始末を起こしてお役御免となり、一家は鹿児島に引き揚げました。
その後、どのように過ごしていたのか分かっていませんが、西郷隆盛が沖永良部島に流された文久2年(1862)以前に川口雪篷は何らかの事情で島に流されていて、島の子供たちに読み書きを教えていました。
この川口雪篷の遠島理由には「兄が罪を犯し、これに連座して沖永良部島へ遠島になった」や「島津久光の書生として勤めていたが、公の書物を質に入れて焼酎を飲んでいたことが露見して沖永良部島に流された」、「西郷隆盛が沖永良部島に流されたとき、西郷の書や詩作の指導をするため罪人でもないのに沖永良部島へ渡った」など様々な説がありハッキリしていません。
川口雪篷は西郷隆盛と初対面から意気投合し、毎日のように西郷の座敷牢に通って時世を語り、書や詩を教えました。
間切横目の土持正照は西郷が迷惑しているのではないかと心配しましたが、西郷の方も川口雪篷のことが気に入っていました。
二人は、先に赦免された者が遅れた者を扶養するという約束まで交わしていたといわれています。
結局、先に赦免となったのは西郷の方で、約1年後に川口雪篷は鹿児島に帰還することができました。
当初は、親戚の家に厄介になっていた川口雪篷でしたが、西郷との約束を頼ったのか、突然西郷邸に姿を見せてそのまま食客になります。
すでに薩摩藩には無くてはならない存在となっていた西郷は家を空けることが多かったため、川口雪篷は西郷家の貴重な男手として来客の応対や連絡などの留守居役を務め、西郷家の子供たちには書や漢学を教えました。
西南戦争の際、西郷家の男性陣は戦闘に参加するため出征しましたが、川口雪篷だけは常に一家と寄り添って女性陣に頼りにされ、戦争で片足を失った西郷の子・菊次郎の義足の手配を助けたといいます。
やがて西郷隆盛の賊将の汚名がそそがれ、名誉回復したことを見届けた川口雪篷は、明治23年(1890)に死去。享年73。
死後は西郷家の墓地に埋葬され、沖永良部島にも島民子弟の教育に尽くしたことを偲ぶ碑が建立されました。