はじめに
ここでは伝説の忍者シリーズとして架空の忍者、実在の忍者の両方を紹介しています。日本の歴史上、数多く忍者が名を残していますが、今回紹介する伝説の忍者は【自来也・児雷也】です。【自来也・児雷也】は皆さんご存じの漫画「ナルト疾風伝」にも登場している架空の忍者です。それでは江戸時代から様々な作品で愛されてきた忍者【自来也・児雷也】について簡単に説明していきます。
自来也・児雷也
名前:自来也・児雷也
存在:架空の人物
年代:室町時代
自来也
自来也は文化3年(1806)の感和亭鬼武による読本『自来也説話』に登場する架空の忍者です。
前編は五巻六冊、後編は五巻五冊によつ読本で、挿絵は葛飾北斎の弟子の筆頭に挙げられる蹄斎北馬によって描かれています。
「自来也」の名は、中国の宋の時代に実在した盗賊で「我来也」にちなんだもの。
我来也は盗みに入った家の壁に『我、来る也』と書き記したため、その名が付いており、自来也も忍び入った際に『自ら来る也』と記した。
自来也が活躍する時代は室町時代で、正体は小笠原氏の末裔で三好家浪士・尾形周馬寛行となっています。
前編は義賊として盗みを働く自来也が、秘薬・西天艸の力で不死身になった奸賊・鹿野苑軍太夫に父を殺された武士・勇侶吉郎に助太刀して仇討ちを成功させる話。
後編は自来也が妙香山の仙人から学んだ蝦蟇(ガマ)の妖術を使い、主家の敵である石堂家を狙うものの、忠臣の計略と江ノ島弁天から授与された石の法螺貝の不思議な力で術を破られて自滅する話となっています。
『自来也説話』は歌舞伎や浄瑠璃にも取り上げられ、様々な脚色で自来也の人気は一人歩きしていったといいます。
児雷也
児雷也は『自来也説話』の設定を基礎として天保10年(1839)~明治元年(1868)に書かれた『児雷也豪傑譚』に登場する架空の忍者です。
『児雷也豪傑譚』は43編からなる長編の合巻作品で、作者は美図垣笑顔 → 一筆庵 → 柳下亭種員 → 柳水亭種清の4人で書き継がれていきました。
この頃の合巻作品は、1年ごとに趣向をこらした展開で読者を楽しませていたため、年ごとに世界観や細かな設定に差異や錯誤があります。
主人公は、お家再興を図る肥後国の豪族の子孫・尾形周馬弘行で活躍する時代は室町時代。
信濃国更級郡鼠の宿に身を隠した弘行は、13歳のときに天の雷を操る伝説の怪物・雷獣を素手で生け捕ったことから「雷太郎」と呼ばれていました。
やがて雷太郎は家の再興のため、児雷也と名乗って軍資金集めのために盗賊家業に身を投じ、その後、越後妙高山に棲む仙素道人から蝦蟇(ガマ)を操る妖術を伝授されました。
児雷也は変幻自在の力で痛快な活躍をしていきますが、一筆庵が担当した第2シーズンからは強力なライバル・大蛇丸が登場してきます。
青柳池の大蛇と人間の間に生まれた大蛇丸は、悪逆非道な山賊の頭領でガマを使う児雷也にとって天敵のようなものです。
これまでの悪事を管領家から許された児雷也は、悪人退治のヒーローとして大蛇丸と対決しますが、天変地異を引き起こす大蛇丸の前に大苦戦。
あわや海の藻屑になろうかという時、海中から現れた巨大な蛞蝓(ナメクジ)と美少女・綱手に助けられます。
蛞蝓仙人から教えを受けていた綱手は大蛇丸にとって天敵とされ、物語はカエル(児雷也)、ヘビ(大蛇丸)、ナメクジ(綱手)による「三すくみ」状態となり、児雷也と綱手の結婚など、その後の設定の幅が大きく膨らんでいきました。
最後の作者・柳水亭種清は明治維新の動乱などにより続編が出版できず、最終的には未完と作品となりましたが、明治以後も人物設定やストーリー展開は講談によって受け継がれています。
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